こんにちは!ともやです!
2日目までにローンセストンから西のスタンリーまで移動した私。今回は続きのの3日目から5日目の出来事をお伝えします。
3日目(→ストラーン)
6:30 スタンリーの公園で目覚める。辺りが徐々に明るくなってきた。テントからゆっくり這い出す。

地平線の向こうがだんだん赤く染まり、太陽が顔を出す。野宿先で迎える朝というものはいつだって特別だ。
テントを片付け、町の南に向けて歩いていく。リュックにはすでに「東へ」と書いたボードをつけている。
ここまでとにかく西に進んできたが、日程的にそろそろ南へ下らないと厳しい。そこで、バーニー近くのA10という道で南下することに決めた。A10はクレイドル・マウンテンの西側を走る道だ。
おばあちゃんと脱出(7台目)

現在地は半島の町スタンリー。まずはどうにかしてここを抜け出さなければならない。道路沿いに歩いていると止まっていた車の中からおばあちゃんが降りてきた。背中のボードを見て声をかけてくれたようだ。ハイウェイに合流する地点まで連れて行ってくれるという。

15分程走って無事半島を脱出。
朝一から素敵なおばあちゃんに出会えた。昨日はおっちゃん率が高かったが今日は果たして。
陽気なカップル(8台目)

8:40 10分もたたないうちに今度はフランス人のカップルが乗せてくれることになった。彼らはなんとこれからクレイドル・マウンテンに行くという。おおむね私の行きたいルートと重なっている。

遠くに昨日登ったザ・ナットが見えた。こうしてみると確かにウルルそっくり。

車内で二人が出会った話や旅行の話を聞かせてもらった。とても陽気でおもしろいお二人だった。
彼らが降ろしてくれたのはギルフォードという地名の場所。付近に建物は見当たらず、ただ分かれ道があるのみ。

車ぜんぜん来やんやん…。
彼らとはここで別の道になるため降りることにしたのだったがすぐに後悔。車通りがほとんどない。15分で通った車は2台だ。これでは1時間に数台しか来ない計算になる。
ところが人間は追い込まれると思ってもいない力を発揮する。ボードを高々と掲げて振る。ドライバーに体全体でアピールする。
ポリスカー(9台目)
乗用車や大型トラックがポツンと現れてはスピードを緩めることなく通り過ぎていく。
くそう、あかん…。

40分程たったとき、5台目の車が一旦通り過ぎて戻ってきた。何かを伝えに来たのだろうか。
「どこまで行くんだい?」
車にはご夫婦らしき方が乗っていて、後部座席に案内してくれた。

「ボードの文字がStrahan(ストラーン)に見えたよ!」
この時の文字は“to South” とにかく南へ進もうとしていたのだ。
ストラーンというのはご夫婦が住む町の名前。それを聞いて驚いた。ローンセストンにいる日本人仲間がおすすめしてくれた場所だったのだ。
まさかそこまで?
ご夫婦に聞いてみると「私たちは全然かまわないよ!」言ってくれた。

「ここは○○山だよ」
「ここの歴史は~だよ」
二人は通り過ぎる景色の案内を丁寧にしてくれた。仕事について詳しく聞くと、奥さんは高校の先生で旦那さんはなんと警察官だった。
まさかお巡りさんに運ばれる時が来るとは(笑)
ギルフォードからストラーンまでは120㎞以上。1時間半はかかる距離だ。ただその長さを感じないくらいおもしろい話が続いた。警察官に乗せてもらえることはめったにないので、気になることを聞いてみた。
ヒッチハイクが禁止されている州はあるの?
彼の答えは「No」。タスマニアに関してはどこでもできるという。ハイウェイはダメというのも聞いたことがないそうだ。ただ現実的にハイウェイ上に立つのは危険だし、他の州のルールは詳しく知らないとのことだった。

最後にストラーンの町が見渡せる展望台にも連れて行ってくれた。
「今日はどこに泊まるの?」
宿について聞かれた。昨日は野宿したことを伝えると
「まだまだ寒いから、うちの空いている部屋を使っていいよ!」
と言ってくれた。いったいどこまで優しい人たちなんだろうか。
13:00 ポリスカーに揺られること1時間半。ストラーンに到着した。

ご夫婦宅に移動すると、さっそく自宅の横に併設されたゲストルームに案内された。テレビにシャワー室、大きなベッドまである。限界旅人にはもったいない設備だ。
「よかったら自転車使う?」
倉庫にあったマウンテンバイクまで貸してくれた。おいおいタスマニアの人、どうなってんだ(笑)

まだ昼を過ぎたところなのでゆっくり町を散策する。

ストラーンは人口は650人程度の小さな港町だ。海辺の街並みはこんな感じ。穏やかな雰囲気が漂う。

カラフルな洋風の古い建物群。ホテルやゲストハウスが集まっている。

こちらはビジターセンター。

おしゃれなステッカーをゲット。

海沿いにフェリーが止まっていた。施設にはゴードンリバークルーズと書いている。ここから世界遺産の国立公園をめぐるツアーのフェリーに乗れるらしい。
ストラーンを訪れる観光客のほとんどがこのツアーめあてだそうだ。次回来たときはぜひとも参加したい。

道沿いにゲートがあった。この向こうには滝があるそうだ。気になったので入ってみる。

ジャングルのような道を進む。マイナスイオンを体いっぱいに感じる。

三又に分かれ勢いよく流れる滝があった。
引き続き自転車で散策していると旦那さんから「友人の家に一緒に行かないか?」と連絡が入った。急いで自宅まで戻る。

「あなた、昨日バーニーにいなかった?」
戻る途中に突然声をかけられた。フェリーターミナルのスタッフだった。昨日私がバーニーの道で立っているのを見かけたらしい。なんという偶然。

ご夫婦の友人宅へ。部屋の壁には写真やポスターがびっしり。バーカウンターに日本庭園まであるすごい家だった。「なんてクレイジーな人!」と言って旅の話を聞いてくれた。

帰ってから晩ご飯をいただいて、リビングで一緒に映画を見た。今日出会ったとは思えない皆さんの温かさ。まるで家族のように接してくれた。
4日目(→クイーンズタウン)
タスマニアヒッチハイク旅は折り返し。ところが現在地はタスマニア島西部のストラーン。ざっと4分の1ほどしか進めていない。今日でホバート近くまでは進んでおきたい。

お世話になった奥さんとお別れし、旦那さんの車で大きな道路との合流地点へ移動。英語で精いっぱいの感謝の気持ちを伝えた。
旅するご夫婦(10台目)
10:00 ボードを両手で持ち、笑顔で振っているとさっそく車が止まる。

車でオーストラリアを旅するご夫婦だった。乗ってすぐに雨が降ってきたのでかなり助かった。
連れてきてくれたのはクイーンズタウンという町。タスマニア西部ではストラーンと並んで栄えている町のようだ。ご夫婦は見晴らしの良い展望台まで連れて行ってくれた。
ストラーンからクイーンズタウンまではウェストコースト・ワイルドネスレールウェイという鉄道が走っている。昔はタスマニア全土で鉄道が走っていたそうだが今は一部の貨物列車と観光用の汽車しか走っていない。

クイーンズタウン駅に行ってみる。構内にはお土産屋さんがあった。ホームは映画に出てきそうなおしゃれな雰囲気で思わず写真を何枚も撮った。するとたまたま蒸気をふかした汽車がホームに入ってきた。すごい迫力だ。

12:30 町の端の道路でヒッチハイク開始。しかし雨が降ってきたので観光案内所の前に避難した。
道に立っては雨に降られを繰り返す。屋根の下で一生懸命ボードを振ったが、車は全く止まってくれない。
くそう…こうなったらあの奥義をくり出すしか。

クイーンズタウンに来て3時間。もはや町を出られるならどこでもいい。近所に住む人たちに心配されつつ、ひたすらヒッチハイクを続ける。4時間、5時間とあっという間に時間が過ぎていく。
日暮れまではやるぞ!
気合を入れなおすも降り続く雨がこたえる。

ここまでか…。
雨がさらに強くなったところでギブアップ。なんと今日はストラーンから隣町までしか進めなかった。なんとか気持ちを切り替え泊まれそうな場所を探す。しかし近くの屋根がある場所と言えばここくらいだ。

雨宿りしていた観光案内所の前のスペース。夜になると人通りはほとんどなく、テントを張れば何とか寝れそうな気がする。
23時ごろまではベンチで日記を書きながらやり過ごした。明日こそここを抜け出せますように。
5日目(→トリアバンナ)

6:00 無事夜明けを迎えた。テントを片付け散歩する。今日はアンザックデーという戦争に従事した方々を敬うための祝日だ。
一週間のタスマニア旅もはや5日目。飛行機は7日目の夕方に飛ぶが、ローンセストンに住むチリ人の友だちが家に招いてくれることになり、明日の夜にはローンセストンに戻らなければならないことになった。ただ日程は大幅に遅れている。
タスマニア半周旅にするか…?
昨日の夜はずっとそんなことを考えていた。とにかくこの町を抜け出さない限りは始まらない。今日の進み具合で決めることにした。

7:30 明け方まで降っていた雨がようやく上がった。昨日立っていた場所で再チャレンジ。

ここから先はしばらく山道が続く。町が少なく祝日ということもあって車通りはまばら。
行けるとこまで行くぞ!
言い訳ばかりしていても仕方がない。まだ旅は3日もできる。昨日も会った地元の人から「あんたまだ立ってんの?(笑)」と揶揄されるもひたすらボードを掲げる。
奇跡の出会い(11台目)
1時間ほどたっただろうか。1台の乗用車が少し通り過ぎて止まった。運転手が降りてきて話し始める。もはやここを抜け出せるならどこでもいい。彼にどこまで行くのか尋ねた。すると
「ホバートやで!」
え、ホバート?
まさか本当にホバートに行くのか。ここからは250㎞以上の道のりで3~4時間はかかる。彼に何度も行き先を確認した。そしてどこまでなら乗せてもらえるか聞いた。
「ホバートまで乗せてやるよ!」
奇跡が起きた。クイーンズタウンに到着して18時間。ついにこの瞬間が。とりあえず助手席に乗り込む。

「クイーンズタウンから脱出だー!!」
私が言いたかった言葉を運転席の彼が叫んだ。車はぐんぐんスピードを上げて山道を駆け抜ける。一晩待ったかいがあった。

今日はホバートに住む友人に会いに行くそうだ。途中におすすめの滝の場所に連れて行ってくれた。

他にも写真スポットとなっている古いホテルや

人気のカフェにも寄ってくれた。

「せっかくここに来たんだから!」
彼は言った。ホバートに移動することばかり考えていた私はハッとした。彼は終始フレンドリーでまるで友人とタスマニア観光しているようだった。

山道がようやく終わり視界が開けた。右手には川が見える。タスマニア一番の都市が近づいてきたのだ。

14:30 ついにホバートに到着。半日のタスマニア観光ツアーが終了した。なんだか名残惜しい。最後は彼の家具選びに付き合ってお別れした。今思えば彼との出会いがなければこの旅は完結しなかった。本当にありがたい(T T)
スーパーカー(12台目)
ホバート中心部から東へ。ゾレルという町でヒッチハイク。

15:30 乗せてくれたのは某スーパーマーケットのトラック。ドライバーの彼は昔ヒッチハイク旅をしていたらしい。とはいえ日本だと考えられない出会いだ。

オーフォードという町まで乗せてくれた。いつもお世話になっているスーパーのドライバーさんに乗せてもらえるとは。今後は他のスーパーには行きません(笑)
二刀流(13台目)

16:30 「もう少しで日暮れだから」と若いお兄さんが乗せてくれた。

電気工事の仕事と消防士の仕事をするお兄さん。
この二刀流はかっこよすぎる。
そんな私は旅人一刀流。オーフォードから少し走ったところにあるトリアバンナまで乗せてもらった。

トリアバンナの町の始まりにきれいなインフォメーションセンターがあった。すでに閉まっているがトイレは使えそうだ。

屋根のある所でテントを張らせてもらった。
朝いたのは西の端のクイーンズタウン。そして今いるのは東の端のトリアバンナ。今日の出会いのおかげで西から東への大移動に成功。一気にゴールが見えてきたが体力的にかなりきつい。テントに入って横になる。
トリアバンナは実は今回のタスマニア旅で一番訪れたかったところである。ここから出ている船で、ある有名な島に行けるのだ。昨日の停滞の時点ではほぼあきらめていたが、まさか行けるチャンスがもらえるとは。寝袋にくるまりながら急いで船のチケットについて調べた。

3日目から5日目もすごい出会いの連続でした。タスマニアのヒッチハイクおもしろすぎます^^次回もお楽しみに!
タスマニア一周ヒッチハイク③に続く…
