一番南で
喜界島での生活も今日で5日目。今朝のフェリーは波が高くて欠航。もう一日ここで過ごすことになった。いったいいつ出られるのか(笑)
荷物を整理していると、1枚のはがきが出てきた。札幌のミスターバイシクルという理髪店のマスターからいただいたものだ。マスターは自転車日本一周経験者で、日本一周中のチャリダーは無料で髪を切ってもらえる。そして、最後にナンバー入りのTシャツと自身の理髪店宛てのはがきをくれるのだ。
「自分の旅の一番南で送ってほしい。」
マスターはそう言っていた。これからさらに南へ進むつもりだが、ここ喜界島に来るチャリダーはそういない。裏にメッセージを書き、郵便ポストに投函した。
あいさつ回り
明日こそ船は出るだろう。そう思って、今日は印象に残った場所を回ることにした。
まずやってきたのはスギラビーチ。初日にここで看護師の彼女の差し入れをいただいた。あの時は天気が悪く水も少し濁っていたが、今日はとてもきれい。
青い空と岩に生えるコケ、透き通った水色の海が何とも言えないコントラストで美しい。初日に彼女は荒れた海を見て「こんなはずじゃない!(笑)」と言っていたが、きっと今日のような海を見てもらいたかったのだろう。
水辺で遊んでいる鹿児島から来ていたご家族と話した。
続いてULU COFFEEのオーナーのもとへ。初日に出会い3泊も宿を貸し出してくださった。お母さんの畑仕事をお手伝いできたのもいい経験だ。カフェだけではなく、宿泊業にマリンスポーツのインストラクターまでこなす本当にすごい方だ。ありがとうございました!
ウムの収穫をした際、作業場として使わせてもらったお宅へ。やさしいご夫婦と記念写真を撮った。いつまでもお元気で!
島に響く歌声
昨日までに島内の道で偶然2回もお会いした方がいる。建設会社の社長さんで、今晩食事のお誘いを受けていた。車で迎えに来てくれて、その方のお宅へ。
ご自宅ではBBQセットが用意され、さっそくおいしそうな鹿肉が焼かれた。何といい香り。
仕事仲間の方々も集まり、あっという間に楽しい夜会が始まった。
メインイベントは娘さんの弾き語りだ。歌がとても上手で、心地いい三線の音色とともに美しい島の歌を聞かせてくれた。
彼女が歌ってくれたのは「故郷の空」という歌。歌詞の中の「島の面影 それは心の安らぎ~それは心の喜び」という部分が特に好き。彼女の歌声は喜界島生活のエンディングテーマのように力強く、島中に響く。
お母さんからは「恩返しはいらないから、島のことを忘れないでほしい。」という言葉をいただいた。身も心も安らぎ、満たされたこの5日間は決して忘れることはない。喜界島の名前を聞けば、写真を見れば、歌を聞けば…いつでも今日の瞬間に戻ってくることができるのだ。
今日はログハウスではなく、お母さんの知り合いのお宅で寝させてもらえることになった。フェリーが無事来るならば、出発は明朝の5時である。
出発の朝
3時起きでフェリー乗り場へ。こちらは初日に豪雨の中たどり着いたコインランドリー。記念に写真を撮っておく。
こちらが喜界島のフェリー待合所。大きなバックパックを背負ったトラベラーやスーツケースをひく人の姿があった。手続きを済ませ、船を待つ。今日は無事に船が来そうだ。
暗闇に光るフェリー。
行きにも乗ってきたマルエーフェリーが到着。
待合所から乗り場へ移動しようと自転車に手をかけた時、「がんばってねー!」とカンパをいただいた。ご家族を見送る島の方だった。ありがたい。
乗る直前、ランニング姿の彼女が現れた。喜界島のマラソン大会に向けトレーニング中のようだ。ここで看護師として働く彼女と出会わなければ、これまでの出会いはなかった。本当にありがたい。またどこかで会いましょう!
喜界島5日目のルート
2023年4月4日【218日目】
走行距離 47.2㎞
積算距離 11,263.3㎞
夜会で聞いた娘さんの歌声には、今でもときどき動画で元気づけられます。本当に濃い思い出ができた5日間でした。さて次の島はどこでしょう?