知床での一件でスマホが壊れてしまいました。修理屋へ行くために釧路へ。便利なものを失うと気づくことがたくさんありますね。それでは行ってみましょう!
アップルのフィルムカメラ
あ、そういえばベンチで寝てたんか。
中標津のバスターミナルのベンチで起床。昨日は知床峠を越えて、標津町のコインランドリーへ。夜遅くにやっとここにたどり着いたのだった。なんだか長い夢を見ていたようだ。
人が来る前に早く行かないと!
急いで準備をして出発。
今日は中標津町から南西に進み、釧路市をめざす。当初は最東端の根室を回る予定だったが、スマホがこの状態では難しい。とりあえず修理屋がありそうな大きな町に行かなくては。
iPhoneの画面は相変わらず緑のままだ。おそらく内部に水が入り水没状態だが、カメラだけは使うことができる。カメラアプリがどこにあるかは指が覚えていたので、触るとカシャっと音が鳴るのだ。画面は映らないので、どんな写真が撮れているかは一切わからない。なんかフィルムカメラみたいでおもしろい(笑)
今回から数日間のブログで使用している写真は、後日修理してから見つけたものや出会った方が送ってくださったものです。ご了承ください。
デトックス
少なくとも今日は携帯が使えない。
さて、スマホなしで釧路へ行くにはどうするか。
自分がいる位置はおおよそわかる。おそらく知床の下から釧路までを結んだ直線上にいるだろう。
頼りはところどころで出会う青看板と人だ。青看板の釧路の文字に注意していれば、多少遠回りしても必ず釧路には行ける。人に道を尋ねたいところだが…あいにくこのあたりでは難しそうだ。
太陽の動きも参考になるかもしれない。
えーと太陽って西から昇るんやっけ、いや東か。
急に混乱する。あっちから昇ってきたということは、太陽がある方が東。つまり根室の方だ。午前中は自分の左側に太陽が見えるように進んでいれば、逆方向に行くという最悪の事態は避けられる…はず。
旅が一気に原始的になってきた(笑)
カシャッ
牛さんや。撮れてたらいいな。
自販機がたくさん並ぶ場所があったので少し休憩。自転車から一旦降りると、すぐに右手がポケットへ。壊れたiPhoneを取り出す。
ああ、クセになってる…。
思えば自転車旅をしている間はスマホに頼りきりだった。メッセージやSNS、距離の計測など、これ一台がこなしている役割は非常に多い。休憩時間はほとんどスマホの画面と向き合っているが、思えば自転車に乗っている最中も画面の地図に釘づけだった。
デトックスやなあ。
壊れたのは必然なのかもしれない。文明の利器に頼りすぎていたのだ。
そこへトラックが1台やってきた。お兄さんが降りてきて自販機で飲み物を買う。するとこちらの存在に気づいて声をかけてくださった。
「よかったらどうぞ!」
え、いいんですか!
一目で優しい方とわかる柔らかな表情のお兄さんだ。運送の途中らしい。
これまでの旅や昨日からのひっ迫した状況を伝える。すると…
「今どのあたりか見てみようか?」
携帯を取り出して現在地を見せてくれた。よし、地図上のだいたいイメージ通りの位置にいる。さらにこのお兄さん、釧路で泊まる予定であることを伝えると、安いゲストハウスを探してくれて、電話までかけてくれた。
何から何までありがとうございました!!
お兄さんに精いっぱいお礼を伝えた。
お兄さんは「がんばって!じゃっ!」とトラックにさっと乗り走っていった。
14:00 おそらく70~80㎞はこいだだろうか無事釧路の町に入った。
ゲストハウスに到着。ここへ来るのも大変だった。ゲストハウスの名前と住所は記録していたものの、初見の町で探すのは一苦労。3人ほどたずねてようやくたどり着いた。
宿では近くの居酒屋の割引クーポンがもらえたので、行ってきた。
店主もご飯もお客さんもめっちゃいい人ばっかりで、名物の巨大なホッケを食べ、あまりのうまさに発狂した。しかし、写真は撮れていなかった(笑)
地図をゲット
ゲストハウスで釧路市内と帯広までの地図をゲットした。こういう時の紙の地図がとても役に立つ。
釧路川が見えるところにやってきた。宿の人によると、ここで見る釧路の夕日はかなりきれいらしい。
iPhoneを乾燥剤と一緒に袋に入れてみた。これは宿で調べた方法だ。カメラのレンズの曇りはこれで直ったらしい。本当だろうか。
ちなみに携帯電話に水がかかった場合は、その日は充電しない方がいいらしい。中に水が入っている場合、ショートしてしまうのだ。振ったり、ドライヤー等で乾かしたりするのもよくない。
うーんなんかだめな方法を一通りやっていた気がする(笑)
釧路のモニュメントがあった。写真はこの通り。KUSHIROの町がSHIROになってしまった。
修理屋へ
釧路には修理屋が数件あった。そのうち開いていた2軒に行ってみる。1軒目では、画面修理代で7万と言われた。
ウソやろ(笑)
純正の製品ならそれくらいするらしい。考えられない。このiPhoneは中古で6万で手に入れたものだ。もう一度買えるではないか(笑)しかも、中の水没の状況は見てみないとわからず、画面を修理しても直る保証はないということだった。
店の人の言い分もわかる。ただ、高い…。猿払村でおてつたびして3万5千円稼いだところですぐにこの出費はでかい。ケチな性格が判断を遅らせる。
もう一軒の店にも行ってみた。画面修理代は少し安かったが、先ほどと同じようなことを言われた。しかも店員の態度が少し大きい。少し腹が立って店を出た。
どうしよう…。
ここから先は帯広、富良野と進み札幌に帰る予定だ。
ネットで買うか。ただ数日間滞在する余裕がない。札幌まで行けばもっと安い店あるかも!いやそれまで携帯が使えないのはさすがに不便じゃ…。
迷いに迷ってこのまま先に進むことにした。
釧路湿原
今日は釧路湿原に寄って、帯広へと向かう。釧路湿原は広大な広さだ。今回は展望台から湿原を眺めることにしよう。
青看板を頼りに釧路湿原展望台に着いた。ここは展望台兼博物館だ。上から少し湿原が見えた。もう一つ細岡展望台というのもあって、そちらの方がより湿原に近い場所で眺められるそうだが、自転車で行きやすそうなこちらを選んだ。
釧路湿原はさまざまな動植物が暮らす湿地帯で、中心部はラムサール条約に登録されている。
展望台から遊歩道が伸びているので行ってみる。
木道を歩いていくと急に景色が開けた。
おー!
めっちゃいい眺め!
入口にあったさっきの展望施設よりも見やすい。
自撮りに挑戦。
なんとか撮れてました(笑)
コイトイ?
海沿いの国道38号線を通って帯広へ向かう。
道の駅しらぬか恋問というおもしろい名前の場所があった。アイヌ語でコイトイは「波が崩す場所」を意味しているそうだ。
帯広で食べようと思っていた豚丼。フライングでいただく。地元で豚丼と言えば、牛丼のような薄い豚肉がのっているイメージだが、こちらの豚肉はかなり分厚い。
道の駅にはキャンピングカーが数台止まっていた。一人のおばちゃんと出会ってベンチで話す。するとキャンピングカーからパンとお菓子を持ってきてくれた。
「こっちもあるよー!」
今度は向かいのキャンピングカーの方が呼んでいる。おつまみをいただいた。
今日の晩ご飯はこれやな(笑)
浦幌町に入った。思わず二度見してしまったこちらの神社。
こちらの神社の神様は乳授姫大神。昔、木に乳房のような二つのこぶを見つけたところから歴史が始まっているらしい。今では全国から安産祈願や母乳授け、子宝を願う人が訪れているという。
お門違いかもしれないが、こちらで旅の安全祈願をする。
なんとか無事に帯広に着いた。
今日は宿がない。さて、どこで寝ようか。
2022年 7月25・26日【73・74日目】
中標津町→釧路町→帯広市
走行距離 246.3km
積算距離 4,830.6km
釧路までは99㎞、そこから帯広までは147.3㎞でした。残念ながらルートの計測はできていません。看板を見ながら進んだり、道を教えてもらったり、スマホデトックスの旅でした。案外この方が旅してるなあと感じたり。次回もお楽しみに!