北海道最終日は苫小牧から函館まで爆走します!その距離なんと250㎞!
いったいなぜそうなったのか。それでは行ってみましょう!
今日のルート
今いるのは苫小牧で、今日の夜いる予定なのは函館。翌日の2時のフェリーに乗る。ここからの距離は約250㎞だ。
現在の時刻は朝の7時。フェリー出航までは19時間ある。仮に1時間で20㎞進むとすると、250㎞を走るのに12.5時間で行ける。ただ20㎞というのは旅の自転車では結構な速さだ。時速15㎞で行くと17時間ほどかかってしまう。観光や飯の時間を含めるとぎりぎりだ。
なぜこんなことになってしまったのか。
フェリーの予約はかなり前にしていた。7月中には北海道を出なければいけなかったからだ。
なんか1日ずれてないか?
そう気づいたのは2日くらい前のこと。本来なら今日の区間は2日に分けて進むはずが1日足らない。その原因は富良野の連泊だった。
そうか、富良野で計算がずれたか。
まあ仕方ない。理論上はフェリーの時間に間に合う。理論上は(笑)

8:00 苫小牧駅から出発。まずは苫小牧市の隣、白老町の観光地をめざす。
ウポポイ

9:30 到着!ここはウポポイ民族共生象徴空間という施設。2020年にオープンしたアイヌ民族の暮らしや文化について学べる場所だ。
うーん、「共生象徴空間」。少し違和感を感じる名前。

チケットは前日にネットで購入できた。ウポポイ一日券が1200円。ウポポイの中の博物館に入場するためには別に無料の整理券を購入する必要がある。当日に窓口でも買えるようだが、繁忙期は当日券が買えないこともある。

こちらが博物館。オープンしたのが最近とあって、とてもきれいな施設だ。

ウポポイの敷地は結構広く、その中に広場やホール、昔の住居などがある。
博物館内の展示を一通り見てきた。アイヌ民族の歴史や暮らしの様子が多くの展示物とともに説明されていたが、正直あまりおもしろくはなかった。ガラス越しにきれいに飾られているものばかりで、なんというかアイヌを身近に感じる要素が少なかった。

その中でもおもしろかったものが少し。ここはアイヌの文化と現在の職業とのつながりを表したコーナー。俳優やサラリーマン!?急に身近に感じますよね^^

こちらの住居の中でもおもしろい体験が一つ。

アイヌの人々が暮らした住居の中で、スタッフの方がアイヌ語を教えてくれるコーナー。
イランカラㇷ゚テ(ありがとう)
イヤイライケレ(ありがとう)
カムイ(神様)
など、スタッフの方の教え方がとても丁寧でわかりやすかった。ちなみに私が一番好きなのは、ゴールデンカムイの中でも登場する「チタタプ(たたき料理)」という言葉。登場人物がチタタプ!チタタプ!って具材をたたくところ、かわいいんですよね^^

アイヌの衣装を着た人と記念写真。こちらのステージでは伝統的な歌や踊りが披露されていた。
ゆっくり2時間ほど観光してしまった。自転車の方へ急いで戻る。
「ウポポイ」とWEBで検索すると、マイナスな口コミもみられる。たしかにそう感じる方もいるだろうが、結局はあるものから自分なりに吸収できるところはして、興味のある部分はさらに自分で調べてみることがいいと思う。税金が200億も投じられて、これだけの巨大な施設を作ったのなら、今後も継続してたくさんの方がああだこうだ言いながら来てくれるのがいいですね。
「民族共生象徴空間」という名前が最初からついているのはやっぱり違和感。来られた方の判断で「ああ、これは民族共生の象徴だなあ。」と後から感じられる場所になったらと、勝手ですが思いました。
「集めた人」と見る博物館

なんじゃあれ!
235号線沿いに建つクマとサケ。すごい迫力(笑)

12:30 登別市に入ったあたり、信号が赤になり止まった。すると上の方から声がする。
「おーい。」
いや、気のせいか。
「おーいあんた、休んでけー。」
上を見る。おじいちゃんが2階から手招きをしている。
俺に振ってるのか?いや違う人やろう。怖いな。
おじいちゃんと目があった。まだ手招きをしている。やっぱり自分だった(笑)
信号はまだ赤だ。とりあえず歩道に入り、おじいちゃんとしゃべる。
「入口は向こうからね。じゃ。」
ああ、もう入ることになってる(笑)
時間はないが行ってみる。

さっきのおじいちゃんが出てきた。
「ちょっとゆっくりしていきいや。」
はい、じゃあ少しだけ…。

中には少しくつろげる場所があった。おじいちゃんがお茶を出してくれた。
ふぅ。
苫小牧から全速力でやってきた。今日も暑い。涼しい場所で一息つけるのはありがたい。
おじいちゃん、ここは…? あ!!
奥を見て驚いた。

見渡す限りおもちゃだらけ。懐かしいものから、自分が生まれるずっと前のものまで。2階もあって、玩具や映画ポスター、骨董品などがところ狭しと置いてあった。
元は玩具屋さんをされていたそうで、長年の夢であった博物館をオープンしたらしい。
「ウポポイよりすごいやろ?」
は、はい!(笑)
比べてはいけないが、正直自分もそう思った。
長年かけて集めたものを「集めた人」と見られる博物館はなかなかないでしょう。見るものすべてに思いを感じる。

おっちゃんと記念写真。今一番はまっているのはマリリン・モンロー。そういえば、至る所にマリリンおったな(笑)最後に差し入れと汗ふき用のタオルまでいただいた。
時刻は1時半。おいおい1時間もたってるやんけ!(笑)
先を急ぐ。
疲労はピークに

14:30 室蘭のカレー店で腹ごしらえ。節約で具なしにしたけど、向かいの人がカツカレー食っててすぐに後悔(笑)。

あの向こうが函館かあ。
カレーの店の隣に展望台があったので登ってみた。ここは室蘭なので、奥に見えるのが北海道の下の部分。これから右の海岸線を進んでいく。

持っていた大好物のグミで栄養補給!と思ったら暑さで一つになっていた。
グミさん、力を一つにがんばれということやな!よっしゃー!!
しょうもないことを考えていると1台の車が止まり、二人の方が降りてきた。

思わず声かけちゃいました!
トライアスロンの審判をされている方々だった。
道路のわきに自転車と車を止めて話をする。出発してからここまでの道のり、北海道一周の話をする。話を興味津々で聞いてくださるすてきな人だった。
あぁ、時間がない時に限っていい人に出会う(笑)
区切りがついたところでお別れをする。まだ函館までは長い。

国道は室蘭までは235号線。室蘭からは37号線。そして長万部あたりで5号線に切り替わる。
長万部からは行きに通った道だ。懐かしい。

20:30 森町の道の駅に着いた。
ここまで平均時速17㎞。人と会った時以外は止まることなくこいできた。
すでに太ももや腰、手首に痛みがあり疲労はピーク。しっかり休もう。
ここまで来たなあ。ここも懐かしいな。
北海道に入った初日、この道の駅で初めてベンチの上に寝袋形式で野宿した。以来ベンチを見つけると一つのベンチは「シングルベッド」、二つ並んだベンチは「ダブルベッド」と呼ぶようになった。

ついに
1時間ほど休憩し、再び自転車にまたがる。
森町から一つ山を越えれば函館が見えてくる。あと少しだ。
1:00 おーーー!船が見える、よっしゃー!!

ついに函館港に到着した。闇夜に光る船を見た時は本当に感動した。もう体はヘトヘトで動かない。
苫小牧を出てから18時間。確認しなくてもわかる。
今日は過去最高記録や!

船に乗り込んだ。1か月の北海道旅がついに終わるのだ。
自転車をくくりつけてもらい船内に入る。北海道で過ごした一日一日がよみがえってくる。
ススキノで会った大阪のおっちゃん、札幌でお世話になった女将さん。猿払村でのおてつたび、三度会った三重のご家族、そして知床。
あの日知床でスマホを水没させてからの6日間は特に過酷だった。地図は紙のを使い、青看板を見ながら次の町へ。調べ物や宿の手配は大きな町のネットカフェから。太陽の動きをチェックし、暇な時間ができないようひたすらペダルを踏んだ。
山道ではクマが怖くて大声で歌をうたった。ご飯の時は食べることに集中し、一口一口味わって食べた。人に会ったら話を聞いて道を教えてもらった。
朝起きてまず「生きてるなあ」と発した日もあった。
計画的には無茶なものだった。したがって自分で追い込んでしまい起きたトラブルだが、その分出会えた人も多くいた。
いろんな方の顔が浮かんで涙があふれた。

きついけど…日本一周っておもろいなあ^^
また少しこげそうな気がした。
函館市までのルート
2022年 7月31日【79日目】
苫小牧市→函館市
走行距離 243.3km
積算距離 5,507.4km

北海道旅にお付き合いくださりありがとうございました。もっとゆとりのある計画ならトラブルも少なく進めた気がしますが(笑)まあこれはこれでいい思い出です。楽しい1か月間でした。次回からは再び本州を進みます。お楽しみに!

