何者
夜ずっと降り続いた雨がようやく落ち着いてきた。昨日ここで出会ったおっちゃんが「朝に浮浪者が来るぞ」と言っていた。私もある意味、浮浪者な気がするが。
おっちゃんの言っていた通り、一人のおじいちゃんがやってきた。自販機の空き缶を集めている。
ベンチに座ったタイミングで話しかけた。宮崎出身の方で朝はいつもこの辺りで空き缶を集めているそうだ。お互い特にそれ以上のプライベートな話はしなかった。バッグの中にいただいた臼杵せんべいが入っているのを思い出した。それをおじいちゃんと分けて食べた。
たしかに一般的には「浮浪者」と呼ばれそうなおじいちゃん。ただそんなことはどうでもよかった。今日を生きるためにご飯を食べては働く。一人の人として接したのだ。そんな私は今日を生きるために話を聞いては自転車をこぐ旅人。自分が何者であるかは自分で決められる。
雨二モマケズ
レストハウスを出発。すると久しぶりに太陽さんが顔を出した。ここ3日くらい見ていなかった気がする。日を浴びると自然と体が元気になる。
干していた服は結局乾かなかったので、こちらのコインランドリーへ。あるおばちゃんが話しかけてくれた。
高校の時、都井岬から100㎞も歩く行事があったっちゃねえ。あれは一生ええわと思ったよお^^
おばちゃんの方言がかわいい。昔そんなすごい行事が(笑)都井岬というところでは馬が見られるらしい。
もう一人のおばちゃんは、さっきコインランドリーにいるときに自転車の看板を見たそうだ。自宅に戻りもう一度コインランドリーへ差し入れを持って来てくれた。昨日からおしることせんべいくらいしか食べていない。ありがたい朝食だ(T T)
雨が降り続いていなかったら今ごろ鹿児島に着いているし、コインランドリーに寄ることもなかった。チャリダーに雨はきついが、こんな出会いもあるなら悪くない。
今日の看板はこちら。岩手で記念館に行ったほど、お気に入りの童話作家のお言葉を借りる。
とある公園ではおじいちゃんたちと話した。話題は昨日のWBC決勝についてだ。
「あれはすごかったなー!」「いやあ、よかった!」
盛り上がるおじいちゃんたち。ところが宮崎では民放が2局しかないらしく、決勝のテレビ放送はなかったらしい。そこからおじいたちの怒りが爆発する(笑)
「宮崎でキャンプしといてなあ!」
「宮崎は金がねえんだ!今の政治は~」
おじいたち、その気持ちはよくわかる。ただそれ以上言うと血圧が上がる(笑)
「公園で文句をきく旅」を終えた私が向かったのは、有名なチキン南蛮のお店だ。店の横にまで列ができていた。ここに来るのは実は2回目。以前旅行で来たときは定休日で、店の前でうなだれた記憶がある。
メニューをオープン。しかしすでに注文するものは決まっている。
名物のチキン南蛮が登場。ご飯もついている。チキンはもちろん最高にうまいが、個人的にはこのタルタルソースが好き。店内は昔ながらの洋食屋さんという感じだった。
交差点がくれた出会い
少し雨が降り始めたが、気にせず国道220号線を南下する。交差点で信号が赤になった。そこでとある方が「どこに行くの?」と声をかけてくれた。交差点で立ったまま旅の話をする。会話が弾み、自宅に案内してくださった。
突然の訪問にもかかわらず軽食を用意してくれて、これまでの人生についてお話を聞いた。文章を書くことがお好きな方で、大学で国語を本格的に学びたかったそうだが子育てや仕事に追われ叶わなかったそうだ。新聞にエッセーを投稿するのが趣味で、子育てと仕事がひと段落したタイミングでなんと短期大学に入学。若者に交じって文学や国語の学習に2年間励んだそう。すごい方だ。
自宅でご家族の話を聞かせてくれたり、畑を案内してくれたりした。赤信号が生む出会い。ただ、物理的に出会うタイミングができたとしても、この方のように声をかけがなければ話すことはできなかった。とてもありがたい出会いだった。
後日、この方からメッセージが届いた。新聞にあの日の出会いを投稿したところ、見事に掲載されたという。なんと嬉しいご報告。「雨の交差点がくれた出会い」すてきなタイトルだ^^
青島神社
引き続き220号線を進む。ヤシの木のような木々が道路沿いに並ぶ。南に来たことを実感する。
途中で出会った人がおすすめしてくれた青島神社というところへ。陸から小さな島まで橋が伸びていてそこに神社がある。橋の周りにおもしろい地形があった。
鬼の洗濯板と呼ばれているらしく、たしかに洗濯板のような奇岩が辺り一面に広がる。
硬い砂岩と柔らかい砂岩でできていて、長年の波の浸食で硬い砂岩だけが残ったそうだ。岩の上を歩いたり、潮干狩りしたりして楽しんでいる人がいた。
こちらが青島神社の入口。それにしても日本全国走ってきて、陸から少し離れた島に神社をつくったり鳥居を建てたり。そういう場所はけっこうあった。
いつも通り旅の安全を祈る。本州の神社よりもなんというか装飾がきれい。那覇の首里城のような色合い。
観光客の方と話して写真を撮ってもらった。この道を進んでいくと生い茂る木々の中に別の建物がある。
こちらが元宮(もとみや)。ここでもお参りをする。周りの木々はいかにも南国という感じ。その中に社殿がある光景がおもしろい。
青島からの帰り道。空から神々しい光が差し込んだ。
フェニックス
さて、今日の宿はどうするか。福岡以南は本州に比べネットカフェや格安の宿が少ない印象。計画的に進む必要がありますよねえ(棒読み)
道の駅発見!気になったのはその名前だ。
フェニックス?かっこいい名前。
寄ってみることにした。
フェニックスと聞いて少し期待したが、翼を広げたような形状ではなく円形の建物だった。
すごい!
道の駅の前には絶景が!
先ほどの洗濯板の地形も見える。
展望台にいた人に背中を入れた写真をお願いしてみた。確認してみるとほぼ背中。ありがとうございます(笑)
駐車場から上に登る階段があった。景色はこんな感じ。すごいところにある道の駅。あれ、ちょっとかっこよく見えてきた(笑)
そんなことをしていると日が暮れてしまった。いい感じのベンチがあったのでお借りする。うん、ちょっと凸凹するけど寝られそう。
実は道の駅で寝た経験はあまりない。ペグ打ちのテントは立てられないし、人通りもある。寝るとしたらこうしてベンチにマット方式だ。
今日も星はきれい。不死鳥という意味のフェニックス、なぞの安心感がある。
おやすみなさいz Z Z
道の駅までのルート
2023年3月23日【206日目】
宮崎市
走行距離 36㎞
積算距離 10,707.6㎞
道の駅史上一番かっこいい名前でした。次回は宮崎のモアイへ。お楽しみに!