鹿児島の戦跡をめぐる【244日目 鹿児島】

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tomoya

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火之神公園

朝の西頴娃駅

6:00 鹿児島の無人駅で起床。昨日の猫はいなくなっていた。人が来る前に片づけを終わらせる。

今日は一旦海岸線を枕崎市まで進み、内陸の南九州市と南さつま市を訪れる予定。

鹿児島の国道226号線

国道226号線を走っていく。今日も天気が怪しい。

枕崎市までの国道226号線

奥に大きな港町が見えてきた。

枕崎市のかつお公社

8:30 枕崎市に到着。鹿児島の薩摩半島の南端に位置するこの町。全国的にもカツオの水揚げ量が多いらしい。

枕崎漁港

漁港の辺りを散策。漁業関係者の古い建物や新鮮な魚が買えるお魚センターがあった。

火之神公園入口

9:00 枕崎市の南端にある火之神公園というところにやってきた。ここには訪れておきたい慰霊碑がある。

火之神公園の灯篭

灯篭が整然と並ぶ坂。この先にありそうだ。

戦艦大和殉難鎮魂之碑

ここは平和祈念展望台。戦艦大和殉難鎮魂之碑とも呼ぶ。この先の海にいる第二艦隊の戦没者を慰霊する場所だ。

火之神公園の第二艦隊の説明

第二艦隊はかつての海軍部隊の1つで、戦艦大和をはじめ多くの巡洋艦や戦艦が所属していた。奄美群島の徳之島で見た大和の慰霊塔を思い出す。船の写真を見て改めてすごい部隊だと感じた。この先の海でたくさんの船とともに、多くの戦没者の御霊が眠っている。

第二艦隊沈没地点を示す石碑

沈没地点を表す石碑もあった。本土を守るため、どのように戦い最期を迎えたのか。また時間を作って勉強したいと思った。

立神岩

帰り道に海岸の方へ。向こうに立神岩と呼ばれる奇岩が見えた。

始発・終着駅

枕崎駅に止めた自転車

10:00 枕崎駅に到着。

本土最南端の枕崎駅

ここはJR最南端の始発・終着駅だそうだ。始まりでもあり、終わりでもある。なんかいいですね^^地図上の最南端の駅は別にあるが、北海道の稚内駅から続く線路はここが終着地点。距離にして3099.5㎞となる。稚内に私がいたのは去年の7月のこと。ここまで来るのにいろいろあったな(笑)

枕崎駅でいただいた差し入れ

駅前の東屋で弁当を食べていると、通りすがりのおばちゃんがカンパをくれた。孫が自転車で九州を1周したことがあるらしい。女の子だからと心配したそうだが、いろんな方に助けてもらったという話を聞いて、私にもこうしてカンパをくれたそうだ。お孫さんがつないでくれたご縁、ありがたいなあ^^

知覧の戦跡

知覧の茶畑

枕崎から南九州までの移動途中、茶畑が広がる場所を通った。この辺りでは知覧茶というブランド茶が生産されている。奥には山々の姿が見られ、静岡で見た光景と少し似ていた。

知覧の灯篭

今日のメインの目的地、知覧特攻平和会館が近づく。道路には灯篭が並び始めた。平和会館に行く前に少し寄りたい場所がある。

実は知覧には他にも先の大戦について語る戦跡がいくつかある。平和会館は過去に一度訪れたことがあるので、今回はその周りの戦跡も一緒に見たいと思っていた。

知覧の三角兵舎跡近くの道路

大きな木々の間を走る道路を進んでいく。

知覧の映画ロケ地石碑

まず見つけたのは映画のロケ地であることを示す記念碑だ。その映画のタイトルは「俺は、君のためにこそ死ににいく」。元東京都知事の石原慎太郎さんが製作総指揮を務めた映画で、個人的には好きで何度か見たことがある。特攻隊員たちと彼らの最後を見送った食堂のお母さんとの交流のシーンは印象的だ。

知覧の三角兵舎跡

道から外れるように階段が伸びていた。旧陸軍特攻基地「三角兵舎」跡と書いてある。ここは出撃前の隊員たちが一時を過ごした場所なのだ。

知覧の三角兵舎跡

たくさんの木々が空に向けて高くそびえている。とても静かで厳かな雰囲気。

知覧の三角兵舎跡

かつて三角兵舎は、敵から身を隠すようにこのような森の中に設置されていた。実際の建物はなく、跡地に石碑があった。

知覧の戦跡を示す地図

近くに地図がある。かつて存在した知覧飛行場の周りを囲むようにいくつも戦跡があることがわかる。飛行場近くに行ってみることにした。

知覧の映画ロケ地石碑

これは先ほどと同じ映画の記念碑。いくつか設置されているようだ。

知覧の戦闘指揮所跡

こちらは旧陸軍特攻基地「戦闘指揮所」跡。今でいう管制塔のような役割の建物があった。2001年に公開された高倉健さん主演の映画『ホタル』のロケ地でもある。

知覧飛行場跡地の道路

石碑の前の景色はこんな感じ。奥に山が見えるが、それ以外は広大な平たい土地だ。かつてここに知覧飛行場はあった。多くの若者がここから出撃していったと思うと胸が痛くなった。

知覧飛行場跡地の畑

隊員の世話を担ったなでしこ隊が、八重桜の枝を振って見送った場所もこの辺りである。今は畑が広がっている。

知覧の特攻機発進の地

少し離れた場所にあったのは「特攻機発進の地」と書かれた石碑。先ほどの地図で言うと、知覧飛行場にあった2本の滑走路がちょうど交わる地点だ。この辺りに特攻機の出発線があり、離陸の合図を待っていたそうだ。

特攻平和会館

特攻平和会館前の道

13:00 特攻平和会館へ移動。

特攻平和会館前の道

灯篭が並ぶ道を進む。

特攻平和会館

こちらが平和会館の正面。

特攻平和会館のゼロ戦

中に入るとまず目にするのがボロボロになった機体。零式艦上戦闘機、通称ゼロ戦。機体の前部のみが展示されており、後ろからコックピットを見ることができる。

特攻平和会館のゼロ戦

長い間海の中にあったため損傷が激しい。国内には展示用に復元されたものや映画で使用されたレプリカがいくつか存在しているが、実物をほぼ回収時のままで展示しているのは珍しい。なお、これ以降の部屋では撮影ができない。特攻隊員の方の遺品が多くあり、顔写真とともに数々の遺書も展示されている。

今回はタイミングよく語り部さんのお話を聞くことができた。自分たちが生きる現実世界に近づけてお話をしてくださった。教員時代のことを思い出す。平和学習や歴史学習で単に「昔こういうことがあって…」と話しても子どもたちには響かない。今の暮らしからつながることを探して遡っていくような話し方、学習の仕方が必要だと感じる。

特攻平和会館に展示された戦闘機

外に展示されている機体は一式戦闘機「隼(はやぶさ)」だ。映画撮影で使用されたレプリカである。

特攻平和会館の三角兵舎

復元された三角兵舎もあった。隊員たちは出撃までの数日をこの兵舎で過ごした。

特攻平和会館の銅像と戦闘機

平和会館がある一帯は「知覧平和公園」として整備されており、観音堂や飛行場正門跡、弾薬庫や防火水槽跡も見学できる。

前回来たときはゆっくり見ることができなかったが、今回は時間をかけて回ることができた。特攻といえばこの地がよくイメージされるが、特攻機自体は全国各地の飛行場から飛び立っている。終戦を迎える8月15日の正午、その30分前にも飛び立ったというのだから驚きだ。どれほどの若い尊い命が失われてしまったのだろう。

知覧中心部

16:00 平和会館から北へ進み、知覧の中心部へ。

知覧の富屋食堂

県道23号線沿いにこちらの建物が。前には「富屋食堂」と書いてある。

知覧の富屋食堂

ここはかつて軍の指定食堂となっていた場所で、女将の鳥濱トメさんと出撃を控えた特攻隊員たちが交流を深めた場所として有名。現在は食堂ではなく、「ホタル館 富屋食堂」という名前の資料館になっている。

トメさんは隊員たちの胃袋を満たすだけではなく、本来届くはずのない遺書をご遺族の方に届けたり、戦後も慰霊のための施設建設に奔走したりされていたそうだ。

野宿場所へ

知覧の武家屋敷通り前の橋

武家屋敷通りの前で少し休憩。

知覧でいただいた差し入れ

通りすがりの方から差し入れをいただいた。ちょうど飲み物を欲していたので助かった。

吹上浜海浜公園
吹上浜海浜公園

17:30 地図で見つけた南さつま市の公園に到着。海沿いにある大きな公園だ。ここならどこかに寝られる場所があるかもしれない。

吹上浜海浜公園で食べるおにぎり

今日の晩ご飯はおにぎりと揚げ物。近くのスーパーで購入した。散歩をする人や家族で遊んでいる方々がいる。公園の入口で一つ気になったことが。大きな門があったのだ。こういう規模の大きな公園の中には夜は立ち入りできないものもある。大丈夫だろうか。

吹上浜海浜公園

17:40 公園内の人がみな出口の方へ向かっていく。そして無情にもあの音楽が聞こえてきた。

ホ~タ~ルの ひ~か~り♪

わかりやすい閉園の仕方。自転車にまたがり別の場所へ移動する。

吹上浜海浜公園の猫

いい感じの東屋があったがすでに先客がいた。どうぞごゆっくり。

かせだ海浜公園ゆうらく

公園の外に温泉施設があったのでさっと汗を流した。

公園の東側にサンセットブリッジという橋があるようだ。夕日だけでも見ていくか。

サンセットブリッジ

こちらがその橋。おっと、もう夕日時間が始まっている。

サンセットブリッジで見る夕日

ぎりぎり間に合った。たしかにきれいに夕日が見える。今日は一日、学びが多い日だった。さあて、宿はどうするか。

暗くなっていく橋の上で考えていると、通りすがりのおっちゃんが良い場所を教えてくれた。

吹上浜海浜公園の隣の中之島公園

橋を渡ってすぐの場所にある東屋だった。しかも結構大きい。

吹上浜海浜公園の隣の中之島公園の東屋

中央にキングサイズベッド、それを囲むようにシングルベッドが4つ配置されている。これはノジュカーにとっては豪邸。

おっちゃんに感謝しつつ眠りについた。

南さつま市までのルート

途中で計測が切れてしまったので、野宿場所の公園までの10.9㎞を加えた79.2㎞を本日の走行距離とします。

2023年4月30日【244日目】

頴娃町→南さつま市

走行距離 79.2㎞

積算距離 12,638.3㎞

ともや
ともや

一度行った場所でも年齢を重ねてから訪れてみると、また感じ方が違いますね。最後まで読んでくださりありがとうございました!

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