こんにちは!北海道の猿払村をめざしてチャリをこぎまくっているともやです。いよいよ今日その猿払村に到着する予定…なんですが。それでは行ってみましょう!
何もない道
今日は天塩から稚内をすぎて猿払村に入る予定。できればノシャップ岬と日本最北端の宗谷岬も回りたいところだが、欲張りすぎか。時間を見ながら進んでいこう。
留萌からオロロンラインを進んできた一番の理由は、今日立ち寄る場所にある。その場所に行くためにはどうしても通らなければならない道があった。天塩町から海沿いに伸びる国道106号線だ。全長は約70km。ここもオロロンラインの一部になるわけだが、道の駅はおろか、スーパーやコンビニもないそうだ。いろんな旅人のSNSで「あそこは何もない」という言葉をよく目にしてきた。
7:30 天塩町の最後のセコマで食料を買いそろえる。途中でもし何かあったら、水と食料だけは必要になってくる。
何もない道がいよいよ始まる。
まあそうはいってもなんかあるやろ!
そう言い聞かせてこぎ出した。
何か見つけてやる!
意気込んで進むも、しばらくは何もない(笑)
30分ほど走り、マップを見る。
あれ?
海沿いの106号線を走っていると思っていたが、間違って一つ内側の232号線を走っていた。この道でも稚内へは行けるが、寄りたい場所には行けない。どこかで左へ曲がろう。
左に曲がる道を探す。地図上ではかなり細い農道のような道がある。
ここだ!
草はあるが行ってみよう。天塩に戻っていては遠回りだ。
草の生えた細い道を突き進む。草がどんどん長くなり、自分の胸くらいまでの高さになってきた。
あかん、これは無理や。
途中で自転車に草がからまり、進めなくなってしまった。
仕方ない、戻ろう。
あきらめて天塩に戻ることにした。セイコーマートによったところで、すでに道を間違えていたようだった。1時間のロスだ。このように思い込みで進んでしまって、間違えるということがよくある。
こちらが国道106号線。稚内の文字が見える。なんや建物も少しあるやん。
稚内天塩線。よし、今度こそ大丈夫そうだ。
出発してすぐコンクリートの工場があった。
やっぱりあるやん。
うわさ通り店はなさそうだが、ひと気を感じる建物を見つけられて安心する。
だがその安心はそう長くは続かなかった。
こちらが前。
こちらが後ろ。
やっぱなんもないやーーーん(笑)
えーとここは矢印の国ですか(笑)
やはり北海道は旅人を裏切らない。稚内まではまだ60km以上を残す。楽しみと不安が入り混じる。
だが、「その場所」には確実に近づいていた。
もうすぐ見えるはずやけど…
その場所へ
お!あれかな?見えてきた。
果てしない道の向こうにぼんやりと、クルクル回る構造物が見える。それもいくつもある。
近くまでやってきた。
おー!これが…!
その名はオトンルイ風力発電所。いくつもの風車が同じ方向を向き、整然と並ぶ姿は圧巻だ。その数28基。
自転車と写真を撮る。オトンルイとはアイヌ語で「浜にある道」という意味。空と風車、緑の広大な原っぱ。オロロンライン北部の象徴的景色だ。バイクや車と一緒に撮っている方が何組かいた。
先頭のプロペラから少しずれて次のプロペラ、また少しずれて次…と動いている。秋田でも風車が並ぶ姿は見られたが、明らかに違う雰囲気だ。何と表現したらよいのか。荒涼とした大地に立つ人工物。今この世界で動いているものはこれだけでは?そう錯覚するような感覚だ。
オトンルイに別れを告げ、先へと進む。
北海道のいろいろ
北緯45度線のモニュメントがあった。ここは北極点と赤道のおよそ中間ということだ。
開けた道に突然立派なトンネルが現れた。しかし実はこれトンネルではない。
冬の期間に吹雪から車両を守るスノーシェルターだ。中には車両が駐車できるスペースと自販機があった。野宿できそうと考えてしまった自分を責めたい(笑)
へえ、風力発電の風車ってああやって作るんか。
建設途中の風車だ。
先ほどのオトンルイ風力発電所は当初、2023年3月までで運転を停止し、移転される予定だった。これまでよりも効率的に電力を供給できる風車になるため、数が今の28基より減るとのことだったが、計画は2年延期された。少なくとも2025年3月までは今の景色を見ることができる。
先ほどから原っぱに何やら大きな植物が生えている。
木のような、ブロッコリーのような見た目のエゾニュウという植物。北海道をはじめ、本州の北部地域にも自生する。茎の部分は食べられるらしい。オロロンライン北部では頻繁に見られる。
稚内まで48kmだ。まだ2~3時間はかかりそう。
10:00 左の海上に山が現れた。利尻富士だ。昨日、夕日と一緒に遠くに浮かんでいた山にようやく出会うことができた。利尻富士がある利尻島、その隣の礼文島には稚内から船が出ているらしい。離島にあまり興味はなかったが、どんな場所なのか気になる。また時間を見つけて行ってみよう。
利尻富士さんとパシャリ!
奈良からお越しのライダーに撮っていただいた。北海道では本当によくバイク旅の方に出会う。
道中お気をつけて!
こちらは黒豆。
こちらは白豆。
これらの正式名称はラップサイレージ。暖かい季節に刈り取った牧草や食料稲を中につめ、空気を抜いて発酵させる。そうすると栄養価の高い飼料になるそうだ。酪農が盛んな北海道では、牧草地でよく見られる。
ノシャップ岬
さて、稚内市には北に伸びる二つの角がある。左がノシャップ岬、右が日本最北端の地宗谷岬だ。
ノシャップ岬はもうすぐ。
めっちゃカエルおる(笑)
今日も明日も無事にこいでいきますね!
あと9km!
11:20 着いた!
晴れていれば、サハリンも見えるという。最北端ではないが、めっちゃ北なのはたしか。よくここまで来れたものだ。
イルカさんと記念写真。近くには水族館があった。
ノシャップの角を回って一気に稚内市内へ。道に出るときに思わず止まった。こんなところで鹿にぶつかるわけにはいかない。
12:00 稚内駅に到着。残念だが稚内でゆっくりする暇はない。目的地は猿払村だ。
ついにゴール!
稚内と猿払を結ぶ県道1077号線に入る。標高はあるがこの方が近道だ。宗谷岬はおてつたびの休みの日に行くとしよう。
アップダウンがきついが、急がねば!
霧がすごいな。
ようやく山道を抜け、オホーツク海側の道に出た。
よっしゃー!
ついに日本最北の村、猿払村に入場だ!待ち合わせの時間は村の役場前に15:15。なんとか間に合いそう。
村の役場はなんと丘を登った先にあった。最後にこの坂はつらい。力をふり絞り上っていく。そして…
ゴーーール!
無事村役場に到着。受け入れ先の方には自転車で行くと伝えてはいたが、さすがに驚いた様子だった。
ふぅ。きつかった(笑)
大阪を出て18日目、距離は1700km。ここが日本一周の旅の北のゴールになる。なんとも無謀な旅が今終わった(笑)
早速宿泊する移住体験住宅に案内された。道の駅にあるトレーラーハウスのような建物だ。
中はこんな感じ。奥と手前にそれぞれ二人は寝られる個室、真ん中にキッチンやシャワー室がある。おもしろい宿だ。今回は東京から来られた大学生と二人で10日間過ごす。
おてつだいの内容はいちごの収穫だ。早速おいしそうないちごをいただいた。
こんな最北の地でいちご?どんな10日間になるのだろう^^
無事にここまで来られてほっとした。ほんの1か月前は九州の下関にいたのである。それが今は日本最北。人間やればできるもんやな(笑)
猿払村までのルート
2022年 7月12日【60日目】
天塩町→猿払村
走行距離 160.5km
積算距離 3,916km
とうとうここまでやってきました!朝は早く起きて、夕暮れまでこいで、18日間一日平均90kmで来たわけですが、この行程はまったくおすすめしません(笑)本当にきついです。みなさんはどうか安全でゆとりのある旅を!次回からは猿払村でのおてつたび特集です。