北へ急ぐともや。ゴールの猿払村はまだ遠い。ところが札幌を出るのが遅くなり…。今日の寝床はどこでしょう。では行ってみましょう!
朝に思ったこと
おはようございます。今日私はある公園にいる。その名は平岸高台公園。宿の女将さんが場所を教えてくださった。まさか泊まっていたところからこんなに近くにあったとは。
こちらは1996年から2002年まで放送された北海道放送(HTB)のローカル番組「水曜どうでしょう」のロケ地だ。この場所で番組の前枠、後枠の撮影が行われていた。いわば聖地なのである。
番組の出演者である大泉洋さんと鈴井貴之さんがはちゃめちゃのコントを繰り広げた場所だ。この坂を何度下って何度転んだことだろう(笑)
公園のとなりにかつてHTBの本社があったのだが、現在は札幌駅近くに移転している。跡地ではマンションの建設が始まっていた。
決意の自撮り。今日は大都会札幌を離れて北に進む。ここから北は自分にとっては未知の土地だ。
いよいよ始まるぞ。
宿に戻ると、昨晩はいなかったチャリダーの大先輩がいた。OYADO SAPPOROにはよく来るらしい。荷物の積載の仕方がかっこいい。とてもテンションが高いイケおじで、元気よく北海道の旅に出発された。
お会いしたのは少しの時間だったが。すごいエネルギーだった。人生を心から楽しんでいる。
自分もあんな風になれたら…
宿の女将さんともお別れする。とっても居心地のいい場所だった。特別設備が豪華なわけではない。女将とゲスト、ゲスト同士のかかわりが自然と生まれる空間だった。一周してまた戻ってこよう。
10:30 宿をチェックアウト。先ほど話したHTBの現本社にやってきた。大都会の中心部、札幌時計台の近くの高層ビルにある。こちらは看板キャラクターのonちゃん。前の社屋の時は屋上にでかでかとたたずんでいたのだが、こちらは壁紙。かなり薄くなってしまった。
どうでしょうのグッズコーナーはあまり大きくなかったが、念願のステッカーを手に入れた。バッグに貼るぞ!
再び札幌の中心部へ。
昨日出会ったおっちゃんたちは元気やろうか。まだ飲み歩いてるかな(笑)
大通公園でも写真を撮り、ベンチに座った。
夜はカップルが多かったが、今は家族連れやおじいちゃんおばあちゃん、休憩中のサラリーマンなどの姿が見える。みんなこの社会の中の一員という感じ。自分の方をちらっと見てはすぐに目をそらす人もいた。
自分は社会の中で今どこにいるのだろうか。
そもそも旅人は社会の中で立ち位置があるのか。
少し考えては口に水を含む。考えたところで、今の自分に答えが出せないのはなんとなくわかっていた。
自転車屋さんへ
13:00 市内の自転車屋さんにやってきた。旅人のインスタで見たことがある店だ。
日本一周の旅は今日で57日目。最初から使用している後輪がもうツルツルだった。これから先、自転車屋さんが頻繁にあるとは限らないので、札幌で交換しておこうと思った。
店員さんはとても親切な対応で、これから北海道を回ることを伝えると、必要な点検をすべてしてくれることになった。
まずは後輪の交換が終了。この凸凹がいつまでもつだろうか。
チェーンも伸び始めているということだったので一緒に交換してもらった。
そしてブレーキシューも交換。もう少し放置すると、タイヤの銀色のリムという部分を傷つけてしまっていたかもしれない、とのことだった。危なかった。
結局タイヤにチェーン、ブレーキシューの交換、スポーツバイクの点検となり1万円を超える修理費用になった。レジに向かうと、修理してくれた方が笑顔で「頑張ってね。」と伝えてくれた。
会計を見る。
え?
大幅に値引きされている。
いいんですか?
ありがたいことに旅人価格で対応してくださった。
「ついでにこれも!」
なんと差し入れまで下さった。
本当にありがたい。もちろんこういったことはいつもあるとは限らないが、旅人の対応に慣れている自転車屋さんだった。こんな自転車屋もあるんやなあ。
羊ヶ丘展望台
15:00 クラークさんに会いに羊ヶ丘展望台へ。
着いた!札幌の街が一望できる。
こんにちはクラークさん。私、少年ではありませんが大志を抱いております(笑)
観光客の方がみんなレストハウスの裏に向かっている。行ってみるとラベンダー畑が広がっていた。
きれいなラベンダーや^^
周りはカップルや家族、学生のグループがほとんどだ。自分は自転車で一人で来て花を見ている。
花は人と見るものか…。
なんとなく居づらくなって自転車の方へ戻る。するとご夫婦の方が声をかけてくださった。
日本一周頑張ってね!よかったらあそこで何か差し入れを…
そう言ってレストハウスへ連れられていく。
そしてなんとこんなにも好みのものを買ってくださった。なんというご夫婦だろう。ラベンダー畑に行っている間に、自転車を見つけて気になっていたそうだ。
ありがとうございます!がんばってきます!
ご夫婦に別れを告げ、出発する。
そして、日は暮れる
走り出してすぐ、後ろの荷物を確認していると右のパニアバッグが破れていることに気づいた。急いで100円ショップによる。
黒のテープはなかったのでシルバーのテープで補修する。これだけ張ればなんとかもつだろう。
札幌からは国道12号線を通って北へ進む。電車が通っていて、適度な間隔で町もあるようだ。
おいおいまじか!
18:30 出発して早々に日が暮れ始める。札幌でゆっくりしすぎたか。計画性のなさか(笑)
まあ夕日がきれいなので許す。
また会いましょう札幌さん!
特殊なベッド
豊幌駅までやってきた。うーんテントを張れそうな場所はない。
岩見沢駅近くのココスに来た。晩ご飯たべるぜ!
ここは0時まで開いているようだ。ぎりぎりまで時間をつぶしてどこかで寝ることにしよう。野宿の時間が短い方が人に迷惑はかけにくいと思っていた。テントを出さなくても寝られるスキルはすでに身につけている。ベンチさえあれば寝られる。
23:30 そろそろ閉店だ。
ココスを出る。岩見沢駅に向かい、ベンチにマットをしいて寝ころんだところでもう一度考える。
うーん、やっぱりこのベンチでは寝られない。
ここのベンチは森町の道の駅のとは違い、背もたれがある。座った時のお尻の部分が少し沈み込む形状だ。もちろんベンチというのは「座る」ことを前提に作られている。この沈み込みと背もたれによって快適度が何倍も違うのだ。
だが私はこれから「寝る」という行為を行う。
寝てみるとすぐにわかるのだが沈み込んだ部分に肩がはまり、寝返りを打つのが非常に難しい。自転車側に足を向けてあおむけで寝ると、左半身に体重がのりそのままカチッと態勢が決まってしまう感覚だ。
なんやねんこの特殊なベッド!
えーとまったく特殊ではない。それにベッドでもない(笑)
深夜の応援
マットを片付け、深夜の街をさまよう。もう少しいいベッドがあるかもしれない。
店が集まる通りを走っているときだった。20代くらいの方と職場の先輩と思われる方が呼び止めてくれた。
え?日本一周してるんですか?ほんとに?
仕事終わりに飲みにでも行っていたのか、スーツ姿だがネクタイはすでにはだけている。ここまでの道のりの話をしたところで行こうとすると、お兄さんが財布を取り出した。
手には樋口一葉が。
え、これは、これは受け取れませんよ!
いやいや、こういうの応援したいので。頑張ってください!
今日はこの人に飲み代おごってもらったので!
そういって隣の先輩を指さす。知らない町でしかも深夜にこんな出会いがあるとは…しかも樋口。
時刻は1時を回っていた。
戻ろう。
さっきの岩見沢駅前へ戻る。同じベンチにマットをしく。
今日のベッドはこれだ。これなんだ!
そう言い聞かせ眠りについた。
岩見沢市までのルート
2022年 7月9日【57日目】
札幌市→岩見沢市
走行距離 62.4km
積算距離 3,505.4km
大都市札幌を離れ未知の世界へ。お恥ずかしい話、ほんとに札幌より北や東はまったく知らない世界でした。深夜にあんな出会いがあるとは。まだまだ北の冒険は続きます。お楽しみに!