フタマタ
大分の昭和の町からおはようです!
この像かわい(笑)
公園で周辺の地図が書かれた看板を見つめる。昭和の町の手前で国道10号線は二叉(ふたまた)に分かれる。一つはそのまま国道10号として別府方面へ。もう一つは213号線で半島へ伸びる。散歩中のおっちゃんが話しかけてきた。
今日はどこまで行くの?
「10号線で別府の方をめざします。」と答えた。山道だが別府まで最短で行けるからだ。ところがおっちゃんはこう言った。
せっかくなら回っていったら?
「回って」というのは国道213号で国東(くにさき)半島に進む道のことである。遠回りにはなるが、せっかくすすめてくださったので行ってみることにした。
国東半島は九州の右上、まるでたんこぶのように飛び出た半島。長い距離を走る日本一周旅において、半島を回ることは時間のロスになる。特に自走系(徒歩や自転車)の旅人にとっては体力が余分に必要だが、半島ならではの景色や出会いが待っていることもある。
思い出したのは愛知の渥美半島での出会いだ。あのときは岬で待つリアカーマンという旅人に会うため、半島を回った。美しい海岸の景色が見られ、多くの人との出会いがあった。
もしかしたら今回も…。
何かに吸い寄せられているような気がした。まあ、結果的に何もなかったとしても自分の選択に後悔することはない。いざ!
半島の出会い
半島を一周する213号線を進む。さっそく散歩中のおじさんと話をした。なんと60歳の時に自転車で北海道まで行ったらしい。この辺りでカフェをされていて、今日はごみ拾いのため歩いているそうだ。
せっかくなのでおじさんがされている店へ。チャイがおいしいインドカフェだった。
カフェの時間は過ぎていたが、飴やクラッカーなどを差し入れでいただいた。ありがとうございました!
海沿いにあった粟島(あわしま)公園でトイレ休憩。
美しい海が見える、まるで大きな窓のようなスポットで記念写真。が、社会の窓が開いてしまっていたのはここだけの話(笑)
半島を3分の1ほど進んだところに菜の花畑があった。そういえば渥美半島を走ったときも菜の花を見たな。
ここは「長崎鼻」という海岸に少し突き出た場所。一面に菜の花が咲き誇る。夏の時期はひまわりが見られるらしい。観光で来た方やドローン撮影をしている方と話した。
6人のおじいちゃんおばあちゃんのグループとも話した。「この先にあるミツマタ群生地がおすすめだよ。後からおいで!」と言われて別れた。数キロ先の場所にあるらしい。おじいちゃんたちの車の後を追いかけようとしたが、すぐに離れてしまった。
ミツマタ
地図で場所を確認する。半島の内陸部にたしかに群生地がある。
ん?
距離は7㎞程なのでまずまず。気になったのは標高だ。途中から200m以上の上りがある。
これはやばい気がする…。
今までの経験上、7㎞で200mの上りはかなりの坂だ。うーん。
悩んだが、おじいちゃんたちと会う約束を優先した。
はあ、きつい…。
予想通り、山道に入るとものすごい坂道が待っていた。自転車はこげず、最後の2㎞は押して登る。半島を颯爽と走る計画が、こんな内陸を歩くことになるとは。
だいたい、ミツマタってなんやねん(笑)
そんなことを思いながら歩いていると、少し道がなだらかになり辺りに黄色の花が見え始めた。
これが、ミツマタ?
枝の先にきれいな黄色の花がついている。ミツマタは中国中南部のヒマラヤ地方が原産で、枝が必ず3つに分かれることからその名がついたそうだ。うん、確かに分かれている。
すごい!!
もう少し進むと、一面ミツマタが咲く場所に着いた。
どこ行ったんやおじいちゃん…。
少し開けた場所に車が止まっていたが、おじいちゃんたちの物ではなかった。菜の花畑で別れてすでに1時間半。ここに来ていたとしてもすでに山を下りてしまったかもしれない。残念。
ミツマタ群生地に囲まれた場所にテントや机が置かれていた。おそろいの黄色のベストを来たおばあちゃんたちが話している。あいさつしてここへ来た事情を伝えると、差し入れをくださった。
ここのミツマタの保存活動をしている方々だった。みなさん近くにお住まいの方で、この時期はこうして群生地の前で土産物を売ったり、軽食を出したりしているそうだ。一緒に記念写真を撮ってくださった。
おばあちゃんたちは「これもどうぞ!」とパンの差し入れまでくれた。なるほど、苦労して来たのはこの方たちに会うためやったのか。
おばあちゃんたちと別れ、さらに奥へ。すると…
あ! 菜の花畑で出会ったおじいちゃんたちがいた。ミツマタの前でこれまでの旅路を話す。まさか会えるとは。ここまで頑張って来てよかった。
行きとは違う道で山を下る。
ようやく坂道は終わり。達成感で思わず自撮りした(笑)
道の駅で休憩して、
弥生時代の遺跡がある場所へ。うーん、ここはまあまあ(笑)
日が暮れる寸前に国東半島を回り切った。アップダウンが激しい道もあり、本日の獲得標高は1200m。トンネルは小さいものも含めなんと14本も通った。
宿は別府の海岸に構えた。朝、公園の看板の前でおっちゃんとしゃべらなければ、今日の出会いはなかった。あの人はキーパーソンだったのか(笑)
別府市までのルート
2023年3月14日【197日目】
豊後高田市→別府市
走行距離 105.5㎞
積算距離 10,381.2㎞
やはり半島には旅人が興奮するパワーがありますね。次回は大分で再会を待つ人のもとへ!お楽しみに!