本土最南端へ
6:30 綿江町の公園で起床。いつもより広いセミダブルベッドだったので、かなり気持ちよく寝られた。いや、アルコールのおかげか(笑)
かごしまロマン街道?いいね^^
今日は国道269号線を行く。ロマンあふれる道のりが待っていることだろう。
水上挺進隊と呼ばれる特攻部隊の基地があった場所。自転車を置いて、手を合わせる。
道の駅根占(ねじめ)に到着。本土最南端らしい。ここからは何でも「本土最南端」と付きそうだ。
トンネルの先の出会い
南大隅町の海沿いにいくつかトンネルがあった。
9:00 2㎞もある最後の長いトンネルを抜けた。トンネルからすぐのところにスーパーがあった。自転車を止めようとした時、ちょうど反対側からも旅用の自転車が近づいてきた。
お互いが「おー!」というリアクションになり、ベンチの前に自転車を並べる。第一声は英語だった。
彼女はスイスからの旅人。旅に出てから初めて会う外国人のチャリダーだ。すでに佐多岬は攻略してこれから北上するらしい。
How was it?
佐多岬はどうだったか聞いてみた。つたない英語だったがなんとか伝わった。福岡から東京まで自転車で旅をするらしい。海外から自転車と荷物を持ってきて、本州を横断していくなんてすごいな。
しばらく彼女と話して別れを言おうとした時、彼女は太陽に何かを向け始めた。
Safe travel!
彼女はそう言って文字を書いた桜の木の枝をくれた。太陽光を使って文字を書いたらしい。さすがスイス人。やることがおしゃん(笑)日本の桜が好きで、常に枝を何本か持っているらしい。
Thank you!
連絡先を交換し、お礼を言って別れた。進む方向は反対だが、日本で同じように自転車をこいでいる外国人がいると思うと勇気が湧いてきた。
佐多岬攻略
佐多岬までの道は68号線に変わった。くねくねと山道が続く。坂を登っていると、応援の声とともに差し入れをいただいた。車の窓からのパスで少しびっくりした(笑)
ここで右に曲がると佐多岬へ続く。
立派な入口があった。さあもうすぐ!
と言ってもまだ数㎞、アップダウンが続く。
あの左の先端が佐多岬のはず。
11:00 目的地に到着。ここは展望広場で、もう少し先に駐車場と観光案内所がある。
駐車場で大学生4人に出会った。旅の相棒はこちらのキャンピングカー。憧れるなあ。
佐多岬を望む場所で記念撮影。
駐車場から歩行者用のトンネルを抜けると、岬に通じる道があった。徒歩で進んでみる。
南国の木々の中に鳥居が。
こちらは御崎神社。またすごいところに建てたもんだ。
展望台に到着。
あれが佐多岬かあ。
ついに来た本土最南端。先端の岩の上には灯台がある。北海道の宗谷岬に行ったときは逆風の中、一生懸命自転車をこいだ。あの時もきつかったが、今回もアップダウンがきつい道が多かったので「たどりついた!」という印象が強い。
遠くの方にうっすら島が2つ見えた。左が種子島、右が屋久島だ。当たり前だが地図通りの位置に島があるとおもしろい。屋久島はまるで山のようだ。
こちらでも記念撮影。うん、けっこう飛べた(笑)
佐多岬灯台の管理を担った人たちの官舎跡地があった。現在の灯台は戦後に建てられたものだが、元の灯台は明治時代にイギリス人の設計で建てられたそうだ。
石づくりの壁だけが存在している。
駐車場までの帰り道、元気なおじさんたちに出会った。1級建築士で鹿屋というところに事務所があるそうだ。「好きな仕事をしたらええ」という言葉が心に響いた。
案内所近くにあった看板。私が制覇したのは最北端の宗谷岬とここのみ。根室あたりにいたときはスマホが壊れて東端には行けなかった。さて、西端はどうするか。
最南端の再会
12:45 駐車場に戻る。
あれ?(笑)
見覚えのある自転車が止まっていた。見覚えがありすぎる(笑)
彼は山梨から自転車日本一周中の旅人で、最初は広島の福山で出会った。あの時は別に熊本からのチャリダーもいて、3人で野宿したりすき家で朝飯を食べたり。最後は下関の唐戸市場で見送った。その彼がここに来ているのか。
休憩所で待っていると彼が現れた。約20日ぶりの再会だ。一緒にいた車旅の方も入れて写真を撮った。
再び一緒に走る日が来るとは(笑)岬からのアップダウン激しい山道を二人でヒーヒー言いながらこいでいく。
本土最南端の郵便局に到着。彼はここから手紙を出すそうだ。
南大隅町役場で最南端到達の証明書をいただいた。ちなみに自分は初めて。宗谷岬では役場が休みの日でもらえなかった。貴重なお土産だ。
16:00 道の途中で別のチャリダーにも出会った。これから佐多岬をめざすそうだ。実はこちらの方に出会ったのは初めてではない。彼は覚えていなかったが、最初に出会ったのは北海道の猿払村でおてつたびをしていたときだ。夜の道の駅で彼を見かけ、少し話した。最北と最南で会えるとは、旅の出会いはおもしろい。
スイス人のもとへ
山梨の彼とはコンビニで別れた。これから北上し関東へと進んでいくそうだ。
私はというと今日の野宿場所がすでに決まっている。スーパーで会ったスイス人からメールをもらっていたのだ。朝話した時に宿の話で盛り上がり、「一緒に野宿できたらいいね!」そんな会話で終わっていた。その彼女から、今晩キャンプ場で一緒に野宿しないかと誘われていたのだ。
そのキャンプ場というのがここ。すでに通過した東串良町というところにある。少し距離があるが、せっかくの誘いなので向かうことにした。日はすっかり暮れ、ライトをつけながら自転車をこぐ。
20:00 かなり遅くなってしまったがキャンプ場に到着。彼女はあたたかく迎えてくれた。
地図を広げてこれまでの旅路について話してくれた。福岡から鹿児島に来る間、道行く人に何度もお世話になったそうだ。泊めてくれた人もいたようで嬉しそうに話してくれた。
旅好きの彼女はスイス一周やオーストラリアのタスマニア、カナダにも自転車で行ったことがあるらしい。しばらく旅の話を聞いていると、少しプライベートな話もしてくれた。数年前にパラグライダーの事故で父親を亡くしたそうだ。旅のことを応援してくれていたそうで、お父さんのことを思いながら旅を続けているという。笑顔で話す彼女を見てこちらは泣きそうになってしまった。
まさか日本で外国人と一緒に野宿する日が来るとは。佐多岬からここまで来るのは大変だったが、彼女の話がゆっくり聞けて本当に良かった。
寝床を整えお互いのテントへ。寝る直前に「私いびきをかくかも」と教えてくれた。彼女には「大丈夫、俺の方がでかいいびきをかくから。」と伝えた。いびきで邪魔をしないよう、彼女のテントとは逆方向に顔を向けて寝た。
東串良町までのルート
2023年3月29日【212日目】
綿江町→東串良町
走行距離 111.2㎞
積算距離 11,035.7㎞
国は違えど、それぞれ旅を続ける理由がありますよね。素敵な出会いでした!次回もお楽しみに!