山の中にポツンとたたずむ温泉。そこであるおじさんと出会いました。山をこよなく愛するおじさんのトークは止まることなく…。キャンパーの憧れの町にも行ってきましたよん!
8号線を進む
おはようございます。柏崎市のキャンプ場で迎える朝。
ん?テントの内側が湿っている。結露だ。このテントは1枚のシートで覆われるシングルウォールタイプ。二重構造のダブルウォールタイプに比べて、結露ができやすい。入口を大きく開放して、テント内部を乾かす。
「朝会えるかはわからないけど…」と昨日言っていたオーナーさん。タイミングよく会えて、なんと嬉しい差し入れまで^^ありがとうございます!
今日は新潟市あたりまで進むつもりだ。それにしても新潟というのは縦に長い。面積でも全国5位の大きさを持つという。
柏崎市からは8号線に沿って内陸の方へ進むことにした。こちらには長岡市と三条市、二つの大きな町がある。長岡市と言えば花火で有名だが、どちらかというと三条市の方に興味がそそられる。その理由については後ほど。
長岡市までの8号線の道は、山の中を曲がりくねるように走っている。アップダウンですぐに息が切れる。こちらの神社で少し休憩。
「大地主神社」
なんかパワー得られそう。
例のごとく旅の安全を祈る。ほかの日本一周勢の安全も一緒に祈っておこう。
山の中でも苦しい時に不思議と神社やお寺は現れる。昔の人はなんて旅人思いなんや。
ポツンと一軒湯
ルートをチェックしていると、山の中にポツンと「温泉」の文字があった。
よし行ってみよう!
国道8号線からは少しはずれて細い道を進んでいく。この先にほんまにあるんか…(笑)
おー!あったあった!灰下の湯 東栄館。
日帰り入浴は600円。宿泊もできるそうだ。
受付の方はとても気さくな方で、旅の話で少し盛り上がる。このあたりのおすすめスポットまで丁寧に教えてくれた。
山のことは全部知っている
いざ入場
これがすべての始まりだった。
時刻は11時。30分ほどで上がるだろう。軽い気持ちで扉を開ける。
中にはこじんまりとした浴槽が一つ。4人くらいが一度に入れる大きさだ。ほかに利用客はいなかった。体を洗っていると、おじさんが一人入ってきた。近くに住んでいるらしく、よくここに来るそうだ。
湯舟につかる。おじさんは旅のことについて興味深々で、たくさん質問してくださった。その後はこのあたりの名物の話。8号線をもう少し進むと老舗の団子屋さんがあるらしい。これはナイスな情報。あっという間に30分ほどしゃべってしまった。
お湯の温度加減がちょうどよく、のぼせやすい私でも結構つかっていられた。
そろそろ上がろうか。
そう思ったとき、入口の扉が開いた。
また別のおじさんだ。入るなりすぐに私に話しかけてきた。
どこからきたの?
大阪です!
おお!大阪から旅してるのか。若い時はいろんなところ行ったなあ。休みがあったらだいだい山に登ってた。
登山が趣味のおじさん。ここからおじさんの山トークが炸裂する。
このへんの山は全部登った!山のことは全部知っている。
あの山に登ったのは〇歳の時で~。この山に登った時は~ことがあって…。
知らない山の名前が次々と。登った時のルートやハプニングなどトークに熱が入ってきた。
一方私の体もさすがに熱くなってきた。湯舟に肩までつかるのはやめて足だけをつける。
登山の体験談の次は登山時の装備について。良かった装備品、不必要だったもの、まだまだトークは終わらない。
一つのエピソードが終わるたびにおじさんは言う。
山のことは全部知っている。
あれ、もう一人のおじさんは…。
いつの間にか山おじいとマンツーマンだ。おはなしきくたび始まって以来の長時間エピソード。
もちろんお話はおもしろい。ここは山の中にポツンとある銭湯のポツンとある湯舟の中。
俺が聞かなきゃ誰が聞く?
おじさんの話したい気持ち、大事にしたいなあ。
もう1時間くらいはたっただろうか。もはや体は湯舟につかっていない。浴槽のヘリの部分に体育座りである(笑)
今日はどこまで行くの?
久しぶりにボールが飛んできた。しばらく前にボールを投げてから、おじさんは一人でジャグリング状態だった(笑)
今日は新潟市まで行けたらと思っています!まだ結構距離あるから、急がないといけないんですけどね…
基本的にこの旅では、「相手が話し終わるまで聞く」というのを意識している。だが湯舟に体育座りではさすがにこちらの体力にも限界が…(笑)
チャンスはここだ!ここでたたみかけろ、ともや!!!
そうか。関西の方にも結構山はあってね~。
なにいぃいいいい!!
こちらのジャブが全く効かない(笑)
結局そこからさらに30分。風呂を出たのは13時だった。
2時間も聞いてたのか・・・。
まあこれはこれで一期一会のいい思い出。二人のおじいのすばらしいトークショーだった。
きびだんご
灰下の湯を出て8号線に戻った時だった。気になる文字が…
聴聞
両方ともきくという意味の漢字だ。仏教では、「仏法を聞く」という意味になるらしい。話をうまく聞く人は、うまく話すこともできるということだろうか。なるほど。
さっきの出来事があってすぐのことだったので、立ち止まってしばらく見入ってしまった。
とっくに昼飯の時間は過ぎている。
あ、そういえば団子屋があるんやったな。
ここだ!江口だんご本店。地元の人もよく買いに来るらしい。
こちらの団子、ひと箱でいろんな味が楽しめるそうだ。
店内はお客さんであふれている。団子を注文し、待つこと40分。
きたー!!
ようやく手に入れた。走りながら、どこかで食べよう…
あーだめや、我慢できへん!
団子屋からすぐの公園で包装紙を開ける。
おおー!これはすごい!!
左からこしあん、ずんだ、黒ごま、みたらし、海苔の5種類だ。名も知れぬ公園に集まりし団子界のオールスター。今日の昼飯には十分の量とカロリーだ(笑)
甘党の私にとっては、もはやこれは「きびだんご」
江口さんの言うことは何でも聞いちゃいます(笑)
ものづくりの町へ
信濃川をわたる。流域面積は国内3位。利根川、石狩川と並び三大河川と呼ばれている。
長岡市に到着。駅前には早速花火の打ち上げ台のモニュメントがあった。ここの観光はまた次回!
三条市に入った。来たのには理由がある。
ここにはキャンプギアで有名なメーカーの本社が集まっているのだ。
燕市と三条市があるが、燕三条市という町はない。この燕三条という言葉、キャンプ好きなら聞いたことがあるかもしれない。キャンプギアで、ここ燕三条で作られたものが多くあるからだ。
こちらがキャンプギアで有名なユニフレーム。ユニフレームはブランド名で、正式な会社名は「株式会社新越ワークス」というそうだ。この会社が出している「燕三条乃鋸」という商品、コンパクトで使いやすいのこぎりなんです^^「ファイアグリル」という四角い焚火台もキャンプ場でよく見かけるなあ。
本社めぐりをするはずが、日が暮れてきてしまった。自転車旅はなかなか計画通りには進まない。他にも見てみたい会社がいっぱいあったのに。
ここ三条市には先ほど紹介した新越ワークスの他にも
・スノーピーク
・キャプテンスタッグ
・バンドック(株式会社カワセ)
・ベルモント
などなど名立たるキャンプ用品メーカーが本社を構えている。元々金物産業が栄えていた三条市。ものづくりのまちとして、刃物等の金属加工に長けた多くの企業が集まっている。ここ数年のキャンプブームよりもずっと前から、質の高い製品が作られていたに違いない。またゆっくり観光しに来よう。
彌彦神社
さて、今日は新潟市に宿をとっている。もう少し進まなければ。
新潟市までの道の途中に、県内で有名な神社に寄って行くことにした。
ここだ。
彌彦神社。なんとこちら創建から2400年以上の歴史を有する神社で、万葉集にも記述があるという。
本殿まで続く道はとても厳かな雰囲気。
こちらが本殿。
今日も無事ここまでこいでくることができました。明日もよろしくお願いします。
本日2度目の安全祈願だ。
米食うてへんやん
新潟にきて一つ忘れていたことがあった。
新潟の米、食うてへんやん!
日本一と言っても過言ではない米どころ。学校の給食での米率も高いらしい。
ということで、神社の近くで明かりが灯っていたこちらのお店に入場。
店に入るなり、失礼を承知で聞いてしまった。
すみません、こちらのご飯は新潟米ですか?
新潟の人になんてことを聞いてしまったんだ。店のおばちゃんが笑顔でうなずく。
勝った…。
大盛のラーメンに餃子、そして輝く米つぶたち。
お腹が空きすぎて、口に入れたものはもはや何でもうまい「無双デリシャス状態」だが関係ない。噛めば噛むほど甘味が出る米。
これだよ、これなんだよ。
満腹だ。もうこのまま店の前にテントを出して眠りにつきたい気分だ。
そう言いつつ、なんとか新潟市内のお宿にたどりつきました。料金は2800円。親切なオーナーさんのいるゲストハウスだ。
今日はよく聞いて、よく走って、よく食べた。おやすみなさい。
新潟市までのルート
2022年 7月1日【49日目】
柏崎市→新潟市
走行距離 126.6km
積算距離 2,582.7km
今日のブログも読んでくださりありがとうございます。旅が始まって、一番人の話を聞いた日やったなあ^^また次回お楽しみに!