旅に出て53日目。現在地は秋田県。ところが青森発函館行きの今晩のフェリーを予約していました。残す距離は200km以上。果たしてフェリーの時間には間に合うのか。本州ラストデイの始まりです!
本日のルート
まずは本日のルートの確認から。秋田市から国道7号線を通り能代市へ。そこから国道101号線で青森県の日本海側を走り、五所川原市へ。最終的に青森市の青函フェリーターミナルに着けばゴールだ。めざす到着時刻は翌日の深夜1時。まだ18時間以上ある。
距離はあるが、ゆっくりこぎ続ければ間に合うだろう。
そんな安易な考えだった。ちなみに秋田県の能代市から7号線で大館市を通っていくルートの方が、日本海側を回るよりも早く青森市に着けるのだが、日本海側のルートにどうしても行ってみたい場所があった。
よし、出発だ。
とその前に自転車の空気を入れる。なんせ今日の道のりは長い。予定通りいけば200kmは越える過去最長の距離だ。空気圧だけではなく、ブレーキや荷物の積載具合を確認する。
では改めて、出発!!
巨大なまはげ
7号線を進むはずだったが早速道を間違え、海沿いの道に出てしまった。
お!風車や!
風力発電をつい「風車」と言ってしまうのは私だけだろうか(笑)
ここにはたくさんのプロペラが並んでいる。そういえばSNSで他の旅人が言っていた気がする。北海道にもこのような景色があるらしい。
海沿いの大きな道からさらに海側へ抜けるとサイクリングロードがあった。この道は男鹿半島まで続いているらしい。それにしてもはるか向こうまで風力発電のプロペラが続く。
海からの風を受けて、何十機ものプロペラがくるくる回る姿はなんだかかわいい。
このままの勢いで海沿いを進むことにした。今日で本州の日本海もお別れなのだ。
男鹿半島に差し掛かった時、急に巨大な影が目の前に現れた。
なまはげだあ!!
とそんなうそみたいには驚かなかった。秋田を通る旅人はほとんどがSNSにこれをあげる。
おーなまはげ。
これくらいのトーンが正直な感想(笑)
しかし、近寄ってみるとそのでかさを実感する。
股の下にテントを張ったら寝れそうやな。
前日は4時間ほどしか寝ていない。寝不足なのかそんなことを考えてしまった。
とりあえずカメラをセットして写真を撮る。
パシャリ!うーんもう少し前に出てみよう。
パシャリ!おー!なまはげとほぼ同じ大きさになったぞ!
だんだん楽しくなってくる(笑)
最後はこちら。「ともやはどこでしょう?」
よし満足!行こうか!
自転車にまたがろうとしたところで、バイクで日本を回っている方に出会った。
おー!最北端のステッカー!これはどこで買ったんですか?
これはね、北海道の一番北の宗谷岬ってところで買ったんよ^^
宗谷岬…。最北端はそこなんやな。
この方はすでに北海道を制覇したらしい。
今後の道のりや北海道で気をつけるべきこと、いろんな情報を教えてくれた。
おじさんとは逆方向になる。今後もお気をつけて、またどこかでお会いしましょう!
なまはげ館というところにもやってきた。ここでは動くなまはげに会えるらしい。
なかなかファッショナブルな外観だ。
表にまわってみた。なまはげの館…。
たしかになまはげはいる。が動いてはいない。
お賽銭を入れたら動くのか?チャリンチャリン。
動かない。
どうやらここは思っていたなまはげ館ではないらしい。調べてみると、行きたかったなまはげ館は男鹿半島の山の奥、まだまだ先のところにあった。そこではなまはげの実演が見られるらしい。
残念だがそこに行っている時間はない。先へ進もう。
青森へ
男鹿半島を縦断して能代市にやってきた。今日はこのあたりでお話でも聞こうか。
うーん、人がいない…。
レトロな屋根のアーケードだ。こちらでお話を…
誰もいない…(笑)先へ進もう。
おもしろい名前の公園があった。ここで少し休憩。
こいつがポンポコなのか。後ろの丘がポンポコ山なのか。
日陰で休憩。すると電話がかかってきた。留学のエージェントからだ。
実は9月からある国に語学留学することを計画していた。パスポートの再取得、健康診断、お金の準備など、自転車旅の計画を立てる中で並行してバタバタと準備してきた。どうやら出発日に変更があったようだ。
9月までには東日本制覇できるやろうな…。
そう思いつつまたこぎ出す。
道の駅だ!
飲み物を買おうとうろうろしていると…
わき水やん!ありがたい。そしてここのわき水もうまい^^
青森県はもうすぐだ。
よっしゃー!ついに来たぞ青森県。
本州最北。大阪を飛び出して11日目だ。
不老不死
青森県の日本海側でめざしていた場所。それが地図上の不老不死温泉だ。場所は青森県の西の端。自転車で行くのはかなり面倒なところにある。フェリーまでの時間は刻々とせまっていた。だがそれでもここには行きたかった。
これまでの人生の中で「死」というのもを意識した経験、みなさんはどれだけお持ちだろうか。
小中学校時代のつらい日々、学生時代の大病、社会人になってからの悩み。旅に出てからも一瞬感じることはあった。高知で深夜に越えた七子峠、新潟でテント周りに集まる獣たち…。自分でもふらっと思い出すだけでこれだけある。もちろん少し意識しただけで、すぐに「生きる」という道を選んで今日まで来たのだが、みなさんの中にはもっともっと過酷な経験をされて、本当にぎりぎりの中でやっと選択して生きてきた、という方がいるかもしれない。そんな方からすると、平凡な人生だと思われるかもしれないが…
明日からは北海道だ。もっと過酷な環境が待っている。ここで一度あの温泉につかって、パワーをいただいておかなくては!わりと真剣にそう思ったのである。
時刻は14:30。ひたすら日本海側の道を進む。アップダウンが激しい道が続く。日帰り入浴は15:30がラスト受付だ。
行けるぞ!もう少しや!自分を奮い立たせる。
15:20到着。ぎりぎりセーフだ。
関東からお越しのご夫婦が写真を撮ってくださった。若いころよく旅をされていたそうだ。
いざ!
奥の波打ち際に見えるのが不老不死温泉の目玉「海辺の露天風呂」だ。入浴料は600円。混浴と女性用があり、男性は混浴の方を利用することになる。若干期待したが、見事に現地のおっちゃんと混浴することになった。
波打ち際に簡単な着替えスペースと浴槽があるだけの作り。熱めの赤褐色のお湯が日本海をバックに浮かんでいる。大きな波には飲まれてしまいそうである。
これが不老不死温泉か。
日本海を見つめながらここまでの行程を振り返る。
よくここまでこいできたなあ。今日はもうここでテントを張って…
いや、いかんいかん!
今日のゴールはまだ先。フェリーに乗り込むことだ。
おっちゃんに別れを告げ、館内へ戻る。
不老不死温泉には19時まで営業している内湯もある。露天風呂の前後に利用することも可能だ。だが、観光客の一番の目当てはやはりこの露天風呂だろう。本当のすばらしいお湯だった。
ゴールはまだか
再びこぎ始める。なんと距離はまだ90kmほど残っている。
休憩だ。不老不死温泉で流した汗はもうすでに皮膚に帰ってきている。おかえり、汗。
あの先が青森市だろうか。まだまだあるなあ。
そう思いながら写真を撮る。不意に撮る写真というものはいい。
自販機や!えーと、ん?
どうやらこの自販機は、買ったらなくなるシステムのようだ(笑)
ほんとその通りです。青森さん!
時刻は18:30。日は暮れ始めている。
ゴールはまだかぁあああ!!
21:00 五所川原市に着いた。ここはねぶた祭りの中でも「たちねぶた」というので有名らしい。
いつか見てみたいなあ、たちねぶた。
とその時、自転車の後ろのライトが消えてしまった。うそやろ!?
テールライトなしで暗闇を進むのは危険だ。
ちょうどガストがあったので充電。
ついでに晩ご飯もいただいた。
そしてようやく、ようやく青森駅へ。
港はもうすぐだ。
0時 ついにフェリー乗り場に着いた。今日はおそらく半日くらいは自転車に乗っていただろう。間違いなく最高記録だ。
チケットを買う列に並ぶ。
船に乗り込む。
緊張していた体が急にほぐれる。
間に合った…。
自転車は壁にロープで固定してくれた。
よく頑張ったね、自転車さん!ゆっくり休んでくれ!
青森市までのルート
ご覧の通りの距離と獲得標高。不老不死温泉に行くには、多少の覚悟と時間のゆとりが必要です(笑)どうかみなさんは事故のないように!
2022年 7月5日【53日目】
秋田市→青森市
走行距離 239.6km
積算距離 3,134.9km
ここまで長文読んでくださり、ありがとうございました。不老不死の力を手に入れたともやはいよいよ北海道へと上陸します。この日の道のりも過酷でしたが、北海道はさらにその上を行くのでした。次回から北海道編です。お楽しみに!