スマホが壊れて6日目。青い池を観光してから札幌をめざします。ところがそこに行くのにとっても苦労しまして…(笑)ただ、きつい時ほど素敵な方々に出会います。
それでは行ってみましょう!
青い池へ
おはようございます。富良野駅近くの公園で起床。
本当ならもう札幌近くまでいるはずが、富良野に2泊してしまった。だが連泊するだけの価値があった。昨日の祭りは最高だった。
今日はまず青い池に行く。あの美しい色の池をぜひこの目で見てみたい。夜には札幌まで行くのでがんばらなければ!
早起きして早速出発した。
のどかなところやなあ。
紙の地図を見ながら順調に進む。
少し立ち止まる。
スマホが使えなくなったことは不便ではあるが、気づくことも多い。今まではきれいな景色があれば、先にスマホを用意していることがあった。今ではそれをまずはじっくり目に焼きつける。写真には残せないかもしれないが、心には残す。
おそらくこの道を行けばあと少しで着くだろう。
あれ?
道が終わらない。もうすぐ看板が見えてきてもいいころだが…。
道はどんどん悪くなり、細くなっていく。地図上ではこの先になっているはず…。
あーーー!!!
道を1本間違えていた。しかも1時間ほど前の分かれ道で間違えている。なんということだ。
うそやろー!
今日はミスなく行かなければ札幌に着けない。近くにいた農家のおっちゃんに聞いてみた。
この先は隣の道につながっていますか?
たぶんつながってるけど、だいぶ細いと思うよ。
たぶん…行くしかないな。
おっちゃんにお礼を告げ進んでいく。ところがここからが地獄だった。
ここどこやねん!
しばらくは農道のような砂利道が続いた。まだ自転車は大丈夫。と思ったその時、砂利が急に大きくなった。
ガタガタガタ。
あっという間にハンドルを取られる。
ちょっと押すか。
ここでパンクしたら終わりだ。仕方なく自転車を押す。分かれ道がいくつかあったが勘で進む。すでにもう紙の地図には載っていないところを進んでいる。
おそらくこっちの方向や。
こういう時に限って聞ける人がいない。孤独に自転車を押し続ける。
1時間くらい歩いただろうか。ようやく砂利道を抜けた。
橋を渡り、木々が生い茂る場所に来た。これは近いかもしれない。
ておーーーい!
再び砂利道だ(笑)
もーここどこやねん!!
しばらく止まって考えた。
人が来るのを待つか…。
闇雲に進んでも体力を浪費するだけだ。
少し待ったが人が通る気配はない。
行くしかないな。
再び進む。
頼むから着いてくれ…。
緑の中に浮かぶ青
奇跡が起きた。
突然「青い池」という看板が見え、奥に進むと着いた。
入場料を払い、中に入る。
これや…。
写真で何度も見た景色が今目の前にある。
青い。美しい。
自分の目で見る青い池は、今まで自分が持っていたイメージの何倍もきれいだった。
山の緑の中に浮かぶ青。その青が空の景色を映し出す。
写真を頼まれ、何組かの写真を撮った。たくさんお礼を言われてうれしくなった。
「あなたのも」と言われたが、壊れていて操作が煩わしいと思い断った。
最後に観光で来ていたカップルに出会った。二人の写真も同じように撮った。すると彼氏の方が「写真撮りますよ!」と言ってくれた。
いや、今画面がおかしくて…大丈夫です。
すると彼はスマホの状態を聞いてくれ
「何回もボタン押しときますね!」
と言ってシャッターを押してくれた。
カシャカシャカシャ…。
画面は真っ暗。音だけが響く。
ありがとうございました。
「いえいえ、何が写ってるか楽しみですね!がんばってください!」
写真が撮れているかどうか、そんなことはどうでもよかった。
苦労してここにたどり着き、すてきな方たちに出会えた。それでもう十分だった。
目元に涙がたまった。
さあ、行こう。
自転車のもとへもどる。
後日確認すると、写真が撮れていた。これを見るとすぐにその時の光景がよみがえる。彼の指の影が入る思いのこもった写真だ。見つけた時は本当にうれしかった^^
二度目の再会
急いで富良野に戻る。
上富良野近くの長い坂を上っているときだった。疲れて自販機で飲み物を買おうとすると、その自販機はなんと稼働していなかった。お金を入れてもボタンを押してもまったく反応がない。
おーーい!
近くに水道はなく、あきらめて座り込む。するとクラクションが鳴って1台の車が近づいてきた。
あれ?
見覚えのある車だ、まさか…。
そのまさかだ。知床峠を越える前日にユースホステルで出会った三重のご家族である。お父さんが降りてきて、お互いびっくりした表情で握手した。差し入れをくださり生き返る。
ホステルで別れた後、知床峠の下り道でも偶然再会していた。
知床峠での出会いの後の道でヒグマに出会ったそうだ。自分が通ってすぐの場所だ。
「あんた危なかったよ!これ見て!」
カメラで撮ったヒグマの映像を見せてもらった。あんなのに出会っていたら…。少しぞっとした。
こちらは自転車で相手は車。まさかこの広い北海道で二度目の再会があるとは。
張り紙
富良野から滝川、岩見沢と通り札幌をめざす。滝川からは行きに通った道に合流した。
こちらも行きに通った道の駅だ。少しトイレ休憩。
トイレの壁にこんな張り紙があった。
そうなのか。障がいのある方が…。
いろんな立場の方が働ける職場はいいな。しかしこうも思った。
この張り紙は必要か?
本当なら、わざわざこれを示さなくてもいい環境があれば。張るということはきっと何かトラブルでもあったのだろう。まだまだ「ご理解」が進んでいない状況があるのはたしかだが…。
日本では「張り紙」の文化が根付いていると思う。街中や職場、交通機関などで案内や注意書きがたくさん示されていることがある。事前に起こりうることを予測し、張り紙で示すことでトラブルは減らせる。外国人に対する案内板の整備も進んでいて、日常の中で「聞かなくてもできる」ということが多くなってきた。自分も毎日その恩恵を受けている。しかし、そのことによってコミュニケーションの機会は減っているように思う。
忙しい社会では当然の流れかもしれないが、自分は人とのちょっとしたコミュニケーションが好きだなあ。
トイレにこもってそんなことを考えてしまった。さあさあ札幌へ急がないと!女将が待っている。
女将とも再会
札幌に入場し、早速スマホを修理に出した。ようやく直すことができる。
修理代は35000円。画面は純正ではないものに変わることになったが仕方ない。明日受け取れるということだったので宿へ急ぐ。
宿の名はOYADO SAPPORO。行きにも泊まったお気に入りのゲストハウスだ。
21時ごろ、ようやく到着した。女将さんに北海道1周の報告をする。1階には今夜も何名か旅人が集まっていた。その中で見たことのある顔の人物が。
インスタで見ていた日本一周チャリダーの方だ。彼は超軽装備で全国を回っている。投稿では各地の特色あるゲストハウスを解説していてわかりやすい。自分にとっては憧れの存在だ。
女将にサッポロクラシックを入れてもらい乾杯する。3人で旅の積もる話をする。
はぁ、出会いにあふれた一日やった。
いつまでも今日が続けばいいのに。寝床でそんなことを思った。
2022年 7月29日【77日目】
富良野市→札幌市
走行距離 184.6km
積算距離 5,199.2km
体力的にも、気持ち的にもきつい一日でしたが、それ以上の出会いがありました。明日も出会いに感謝しながら進んでいきます。お楽しみに!