青森市から八戸市へ。そこから岩手をめざします。ところがまたしても雨と山道にはばまれ、大きな試練が訪れることに…そこに突然救世主が現れました!
それでは行ってみましょう!
八戸へ
おはようございます!青森市内の快活で目覚める。
雨が降っているようだ。おさまるまでもうひと眠り。
今日は主に国道4号線を通って海沿いを時計回りに進み、八戸をめざす。
今日の快活は屋根がなかった。袋をかぶせておいてよかった。
後ろのパニアバッグには付属していた黄色のレインカバーを使っていたが、どうしても水が入るので、今日からこの透明のごみ袋をかけて進むことにした。意外とこっちの方が雨は防げる。
雨がおさまり、お昼ごろに出発。しかしまた降り始めた。近くのバス停をお借りして雨宿り。
夜、なんとか八戸の宿に着いた。こちらは繭子の宿というゲストハウスで、SNSで同じチャリダーの子が泊まっていた場所だ。
ここに着く直前、自転車さんの前輪に違和感を感じた。少し空気が抜けているような…。宿に着いてから確認するとやはり抜けている。ただ今日はもういい。また明日見てみよう。
すてきな一人部屋だった。宿の女将さんは元教師で、話が弾んだ。教師をやめてからこのゲストハウスを開業し、最近はパラグライダーにはまっているそうだ。とてもおだやかだが、チャレンジ精神のあるパワフルな方でもある。
救世主
朝、女将さんがおにぎりとおかずを用意してくださった。残ったおにぎりもお昼用にといただけた。胃袋の救世主だ、ありがたい。
自転車さんの様子を確認する。やはり空気が抜けていた。パンクだろうか。チューブに穴が開いていたのでとりあえずパンク修理。タイヤを確認するとかなりすり減っている部分が1か所ある。
近くに自転車屋はないので、パンク修理のみでタイヤを装着する。うん、なんとかいけそうな気がする。
修理をしているときに女将さんと写真を撮った。
「大丈夫?タオルとか使ってね!」
気づかいが素晴らしい方だ。女将さんとお別れし出発。今日は100㎞先、岩手の盛岡まで行きたい。
盛岡までの山道を順調に進む。金田一温泉という場所を過ぎ、岩手町というところに向かっている山道でのこと。
パン!プシュー。
突然前輪から音がした。
すでに何が起こっているかはわかった。だが受け入れたくない。大丈夫、きっと今の音は聞き間違い。自転車は前に進んでいる。
プシュー。
やっぱり聞こえる。あっという間に空気が抜けていく。ここでようやく現実を受け入れて自転車を止める。前輪を見ると一部が裂けて空気が漏れ出している。
うーわ破裂してる。
まじか…。
朝確認していた箇所だ。ここまで約50㎞こいできたが、まさかここでタイヤがダメになるとは。パンク修理用のキットと交換用のチューブは持っている。だが、予備のタイヤは持っていない。
周りは木々が生い茂る森、その中を一本の道が通る山の中だ。
最悪や、どうしよう。
自転車を押して歩くか、ただ盛岡まではまだ距離がある。うーん。
途方にくれていたとき1台の軽バンが現れた。車には「日本一周」と書いている。
うそやろ(笑)
一人の青年が降りてきて、声をかけてくれた。彼は自転車をこいでいるときにすれ違ったものの、気になって戻ってきてくれたらしい。
事情を説明すると、彼は自転車を後ろに積んでくれた。盛岡まで乗せてくれるという。まさかの展開である。
車に乗って移動中もまだ信じられない。彼はさっき盛岡から来たのに、また盛岡までの50㎞を戻ってくれているのだ。
こんなことあるんや。
彼の名はキラくん。東京で美容師をしていて、旅好きで軽バンで全国を周りながらいろんな出会いをしてきたそうだ。SNSでも共通の知り合いがおり、すぐに親しみを感じた。日本一周勢というのは何かとつながるが、まさかこんなところで、このタイミングで出会えるとは。救世主である。
盛岡市内の自転車屋まで運んでくれ、無事タイヤを交換することができた。彼は遠慮したが、お礼の気持ちでお弁当を買った。
キラくんありがとう!このご恩は忘れません。またどこかでお会いしましょう!
夜にもアクシデント
盛岡市内からさらにこいで雫石町のキャンプ場に着いた。ここは道の駅にキャンプ場を併設している。早速テントを張る。ここから約1週間の長雨が続くということで、このキャンプ場は3泊予約した。久しぶりにゆっくりできる。
夕方、買い物に出かけるためキャンプ場を出発。買い出しを終えたころには日が暮れていた。道の駅に戻り、キャンプ場の入口の橋を渡ろうとした時である。
バスッ!ガシャーン!
一瞬何が起きたかわからなかった。気がついたら前に吹っ飛んでいて右半身が痛い。右手からは血が出ていた。
なんとか体を起こし、右腕を曲げ伸ばしする。骨折はしていないようだ。
自転車のもとへかけよる。すると前輪がすごいことになっていた。
前輪の下部分が溝に完全にはまっている。抜こうとしても動かなかった。
今日は厄日だろうか。2回も大きなトラブルが起きるとは。
もう一度踏ん張って前輪を引き出す。一息ついてまた。何度か繰り返しようやく自転車さんを救出した。
橋は工事中で、仮の鉄板のようなものが敷かれていたが、その間に隙間があった。自転車のタイヤがすっぽりはまる幅だ。
前輪のタイヤの側面には赤くこすれた跡がつき、フォークが1本折れていた。回してみると何となく全体が歪んでいるような…。
もう、なんやねん今日…。
テントに戻り、水道で傷口を洗う。痛むが骨折していないなら大丈夫だ。
問題は自転車。まあ明日考えよう。
雫石町までのルート
八戸までのルートは前半がうまく計測できず直線になっていますが、実際は海沿いの国道4号線を走っています。
2022年8月9・10日【88・89日目】
青森市→八戸市→岩手県雫石町
走行距離 196.2km
積算距離 5,757km
山の中でのまさかの出会いでした。キラくんはその後無事に日本一周を終え、東京で美容師として活躍しています。
夜のアクシデントも不運でしたが、体は無事なのでよかったです。一応翌朝キャンプ場の担当の方に状況をお伝えしました。みなさんも事故等お気をつけください。