オンラインの日本語教師ってどんな感じでレッスンするの?
レッスンのバリエーションを増やしたいな!
そう思った方は今回の記事がぴったりです!実際の生徒さんとどんなテキストを使いながらレッスンをしているのか紹介します。魅力的なレッスンを一緒に作っていきましょう!
レッスンの流れ
まずはレッスンの大まかな流れから。知っている方は飛ばしちゃってOKです!
~通常レッスン(50分)の流れ~
①あいさつ・スモールトーク(10~15分)
②復習(5分)
③メイン学習(20~25分)
④ふりかえり・次回レッスンの説明(5分)
通常レッスンとはトライアルレッスン後に定期的に受けるレッスンのことです。2回目以降のレッスンで、収入が発生します。テキストを使って学習する生徒さんの場合は、だいたい上記のような流れで行っています。
あいさつしていきなりテキストを開いて…。
そんな授業していませんか。私は最初にスモールトークの時間を設けています。昨日何をしたかや今日食べたものについて話すことが多いです。画面に映っているものから話を広げてもおもしろいですね!たとえばこの間は、
○○さんの後ろの置物はお土産ですか?
あ、あれは日本に行ったときに買ったんです!
ここから日本の旅行話になりました。生徒さんによってはこのスモールトークで半分以上時間が過ぎる場合もあります。ただ今までに一人だけ、トークの時間なしで早くテキストの問題をやりたいという方がいました。生徒の反応を見ながら、時間は調整した方がいいですね。
「メイン学習」がテキストを使っている時間です。どうですか、短い…?オンラインでテキストを見ながらの学習はけっこう疲れます。集中力の持続時間を考えると、私はこのくらいがベストかなと思います。最後のふりかえりの時間は、今日できたことを確認したり感想を聞いたりする時間です。生徒さんと一緒に達成感を味わう時間ですね!
こんなレッスンやってます!
大まかな流れについて説明しましたが、レッスンの内容は千差万別。生徒さんの数だけレッスンの型があります。実際にどんなレッスンをしているのか紹介します!
ポーランドのAさん(中級者)
この方は「将来日本に住む」ということが目標で、JLPT(日本語能力試験)のN5をすでに合格しています。テキストはみんなの日本語(スリーエーネットワーク)で文法を丁寧に学習します。日本語教育では定番の教科書なので、ほとんどの方が使っていると思います。トライアルの時点で「14課のて形から学習したい」とおっしゃっていたので、て形の練習からはじめました。
・スモールトーク
・宿題チェック→小テスト
・みんなの日本語(以下みん日)
こんな流れです。宿題はAさんが日本の生活で使えそうなボキャブラリーやAさんが苦手な助詞の問題を出しています。レッスンの初めに宿題についての小テストをして、みん日の学習に移ります。問題を解くばかりだと少し単調で目も疲れてしまうので、ときどき全画面にして習った文法を使った文を一緒に作ります。みん日のあとにJLPTのN4のリスニングをすることもあります。
アメリカのBさん(初級者)
この方は軍人で、近々日本の基地に移動することが決まっています。日本語ってこういう需要もあるんですよね。「日本の生活や旅行で使う日本語を学びたい」ということだったので、FUN & EASY(アスク出版)というテキストで学習しています。日常で使うフレーズや旅行会話がたくさんあり、ひらがなやカタカナがまだわからない方でもローマ字を読めば会話ができます。以下のような流れで行っています。
・スモールトーク
・前回習った単語クイズ
・テキストで1チャプターの半分くらい学習
・学んだことを使ったロールプレイ
最後のロールプレイは共有画面ではなく、全画面で行います。テキストで出てくる表現は日常で使うものに近いですが、少しフォーマルすぎるものもあります。そこで、ロールプレイでよりカジュアルな表現で会話することもあります。
台湾のCさん(上級者)
この方は上級者で、「テキストは使わず会話力を向上させたい」というのが希望です。
・スモールトーク
・トークで出た内容を少し膨らませてさらにトーク
・今日間違えた表現をふりかえる
いつもこのような流れです。たとえばある日のレッスンでは、最初のスモールトークで旅行に行った話が出たので、そのまま話を広げていきました。Cさんは言い方がおかしいところだけメモしてほしいとおっしゃっていたので、聞きながらタイピングしました。以下が実際のメモです↓
食事はどうだった?旅館の人と話した?など追加質問して、Cさんが答えました。最後は飲み会の場でのマナーや上下関係の話にまでなりました。「スモールトークから話を広げて」というのは少し難易度が高いように聞こえるかもしれませんが、大事なのは相手の話に興味を持って、話をじっくり聞く姿勢でいることです。話すトピックを事前に決めておくのもお互い心の準備ができていいと思います!
イギリスのDさん(上級者)
日本に旅行経験があり、多くのことを知っているDさん。毎回日本とイギリスのさまざまなトピックについて、動画を使いながら会話しています。これまで実際に以下のトピックについて話しました。
トピック | 内容 |
演劇 | 歌舞伎・ミュージカル・宝塚・吉本新喜劇など これまで見たことのある劇について |
神社と寺 | 日本の主な神社やお寺 伊勢神宮について |
和菓子と洋菓子 | 和菓子作りの体験動画 有名なお菓子について |
ジェスチャーとマナー | お互いの国のジェスチャーについて 日本の食事やビジネスマナーについて |
宿泊施設 | ホテル・旅館・ゲストハウス・民泊の違い 全国のおもしろいゲストハウスの紹介 |
城 | 日本の城の紹介 姫路城とイギリスの城 |
温泉とサウナ | 全国の温泉とサウナ紹介 温泉と銭湯の違いやマナーについて |
日本のことにとても詳しいDさん。毎回トピック選びと準備には時間をかけます。宿題で、次のレッスンで使う動画を見てもらうようにして、レッスンで活発に会話できるよう手助けしています。
ウクライナのEさん(超初級者)
日本語学習がほとんど0からの方で、「こんにちは」や「ありがとう」を知っているくらいでした。日本語がおもしろそうでレッスンをとってくれたようです。超初級者の方にいきなり市販のテキストを使うのは少しハードルが高いので、オリジナルの教材を使用しています。教材の内容はひらがなやカタカナ、基本的なあいさつ、名詞、形容詞などです。少しお見せしますね!
イラスト:いらすとや
あいさつとご飯のテキストページです。ご飯の言葉は初心者でも早めに教えます。最初のトークでご飯の話になることが多いからです。写真や子ども向けの動画を使って学ぶこともあります。オリジナル教材を作るのは時間と労力がかかります。web上に初心者向けの教材が多くあるので活用してみてください。特に日本の幼児向けに作られたプリント教材や外国人生徒向けの教材は役に立つと思います。少し紹介します↓
子どもの日本語ライブラリ(文部科学省)→学校生活の会話がメインですが、日常会話の参考になります。
ちびむすドリル(株式会社パディンハウス)→幼児向け教材けっこう使えます!
いろどり(国際交流基金日本語国際センター)→日本で生活する方向けの教材です!
初級者の方は他の生徒よりも特に楽しむこと重視で!たくさん褒めて日本語大好きになってもらいましょう^^
ちょっと変わったレッスン
ときどき予定していたこととは違うレッスンになったこともありました。
シンガポールのFさん(初級者)
この子は小学生です。いつもはフルーツの名前や基本的な動詞・形容詞の学習をしていますが、この日は始まって少し話した後に画面の奥に消えてしまいました。待っていると手に何かお菓子を持って再登場。奥の方でお母さんが「先生と一緒に作ってみなさい~。」と言っているのが聞こえます。彼女が持っていたのはねるねるねるねでした(笑)画面にお菓子の裏面を見せて、「先生、これ読んで!私が作るから!」と言いました。はい、ここからレッツクッキングです(笑)
説明を読むときに少し日本語を使いながら、
ふくろ を あけて…
こな を いれて…
まぜる!
一緒に作りました!最後にお母さんも登場して、「先生ありがとう!」って。これでいいのかなと思いつつ、満足そうな生徒さんの笑顔が見られてこちらもうれしくなりました^^
レッスンで大事なこと
レッスンで一番大事なことは生徒さんを満足させることです。オンラインレッスンは学校とは違って自由度が高いです。決まったカリキュラムがあるわけではないし、他の生徒さんと進度を合わせる必要もありません。ニーズに合わせて、目の前の生徒さんが満足できる授業を提供します。そのために教科書のほかいろんな学習手段が使えます。
もちろん、お金をいただいている以上適当なことはできませんが、やり方次第で無限に楽しい授業ができます。生徒さんの希望をかなえる魅力的なレッスンを作っていきましょう!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
みなさんの参考になれば幸いです。